第142章
ある日の朝のホームルームにおいて、玲子がクラス全員に通達を出していた。
「きょうは、各クラスの男子生徒に、『生徒手帳検査証』を配布しています。
皆さん、知っていると思いますけど、『検査証』を提示されたら速やかに確認に協力するように。
その知らせを聞いた女子生徒たちは、皆、顔をこわばらせた。
「生徒手帳検査」というのは、この聖女学園の女子生徒たちにとって、非常に恐れられている校則のひとつである。
その声を聞いた由紀もまた、顔を青ざめさせていた。
由紀は、手元の「生徒手帳」をギュッと握り締めた。
これは、転校してから間もなく渡された手帳である。
しかし、その「生徒手帳」は、普通の学校の生徒手帳とはあまりにも違いすぎるものであった。
この生徒手帳をつくるに当たり、由紀は、転校してから2週間ぐらいたったころに呼び出され、思い出すのも恥ずかしい思いをさせられた。
今、思い返しても、身体の芯から羞恥心が沸き起こる。
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由紀は、転校してきてしばらくしてから、担任の玲子と副担任の亜紀子に呼び出された。
職員室の近くにある小部屋に呼び出された由紀は、室内に入ると目の前に大きな撮影装置に、一瞬たじろいだ。
「あ……あの……きょうは……なにを……?」
由紀は、呼び出された理由について、まだ何も説明を受けていない。
大がかりな撮影装置の準備をしている亜紀子に細かく指示を出していた玲子が、由紀の問いに答えた。
「きょうは、生徒手帳に使うデータ取りをします」
「せ……生徒……手帳……?」
あまりに普通の言葉に、きょとんとする由紀。
生徒手帳のための写真撮影というのなら、特に違和感はない。
どこの学校にでもあるものである。
しかし、それにしては非常に大がかりなカメラを使った撮影……由紀は、漠然とそんな感想を心に抱いていた。
「それじゃあ、写真撮影をしますから、制服を脱いで」
「……えっ?!」
由紀は、一瞬何を言われたのかわからなかった。
なぜ、生徒手帳の写真撮影で服を脱がなければならないのか。
普通、生徒手帳といえば身分証明として顔写真をつけるもののはず……。
しかし、玲子は不思議そうな表情をしている由紀に、1冊の生徒手帳を手渡した。
「それが、聖女学園の生徒手帳のサンプルよ。
卒業生のものですけどね」
手渡された生徒手帳を開いた由紀は、絶句した。
その生徒手帳を開いたページに載っていたのは、その卒業生という女子生徒の全裸の写真だったのである。
一糸まとわぬ全裸写真。
未成熟な中学生女子の無垢な身体が、すべて写し出されていた。
小さな胸の膨らみも、その頂点で色づく乳首も、キュッとしぼられたようなお臍も、その下のくっきりと刻まれた女の子の割れ目も……。
両手は、背中に回され、何一つ身体の恥ずかしい部分は隠されていない。
そして、恐る恐る開いた次のページには、さらに驚くべき写真が掲載されていた。
胸の部分をアップにして乳首の先までくっきりと写し出されたバスト写真と、下半身の恥部をすべて余すところなく大写しにした股間部写真である。
由紀は、震える手からその生徒手帳を取り落としてしまった。
「……あ……あの……こ、これ……」
何を言っていいのかわからず、唇を震わせる由紀に向かって、床に落ちた生徒手帳を拾いながら玲子が説明をする。
「わかったかしら、これがうちの生徒手帳よ。
そんなに意外かしら?
まさか、普通の生徒手帳を使っているとでも思っていたのかしら?」
確かに、ありとあらゆる面で、少女たちを辱めることを是としているこの学園において、普通の学校で使われているような生徒手帳が渡されるというのは、逆に不自然ですらあった。
しかし、中学生であれば誰もが持っている生徒手帳にまでいやらしい仕掛けが施されるなど、転入間もない由紀にとっては、想像することすら思いつかなかった。
とはいえ、1週間あまりもこの聖女学園に通っている由紀には、この聖女学園で渡される生徒手帳の中に、女子生徒の裸が掲載されるというのは、ある意味理解できるものであった。
少し前には、ほんの些細なことを理由に、親友と言ってもいいほどの中になった希が、反省室という部屋に閉じ込められ、破廉恥極まりない辱めを受けさせられていた。
その希を助けるために、由紀自身、自らの身に辱めを受けることを受け入れた経緯もある。
希が受けた辱めに比べるべくもないほどのものであったが、つい2週間前まで処女であった由紀には、途方もない羞恥を伴う仕打ちだった。
そんな、この学園が、普通の生徒手帳を渡してくれるというのは、よく考えてみればありえないことであった。
「さっ、水野さん、うちの生徒手帳の中身がわかったかしら?
わかったら、さっさと制服を脱いで全裸になりなさい。
ほら、紺野先生の方も、カメラの準備が整ったみたいよ。
いつまで、そんな格好をしているの?
そんなんじゃ、いつまでたっても終わらないわよ」
「……………………」
玲子の指示に逆らうことなどできる訳もなく、由紀は、ゆっくりとした動作で制服を脱ぎ始めた。
スカーフ、セーラー服、スカート、靴下……と、脱いだところで由紀は完全な裸となった。
裸になりながらも、右手で股間を隠し、左手で胸元を隠した格好で立ちすくんでいる。
「ほら、水野さん、用意ができたらさっさとカメラの前に立ちなさい。
いつまで身体を隠しているの?
そんな格好じゃ、証明写真を写せないでしょ。
この生徒手帳の全身写真は、あなたがあなたであることを証明するために、あなたのすべてを写す必要があるんですよ」
玲子はそう言いながら由紀の後ろに回って肩に手をかけながらカメラの前まで押し出すと、有無を言わさず由紀の両腕を掴んで両手を下ろさせ、背中で組むようにさせた。
「ぁ…………」
心もとない気持ちに由紀の口から小さな悲鳴が上がる。
……が、それ以上の抵抗は由紀にはできなかった。
こうして、由紀は一糸まとわぬ素っ裸の格好で、カメラのレンズの前に立たされたのであった。
両手は背中に回されているため、小さな胸元も、産毛の一本も生えていない無毛の割れ目も、すべてが明るみに晒されている。
由紀は、これ以上ないというほどに顔を真っ赤に染め上げながら、視線を右に左に泳がせながら、身体をもじもじと揺する。
「こらっ、勝手に動かない!
きれいに撮れないでしょ!」
玲子の厳しい叱責に身体をビクッと強張らせた由紀は、まだかすかに震えながらもカメラの前に立ちつくした。
「はい、由紀ちゃん、撮るわよ♪
もっと笑顔になってかわいい顔を見せてちょうだい」
カメラの向こう側から亜紀子が楽しげな声をかけてくる。
とはいえ、全裸で恥ずかしいところを隠すこともできずにカメラの前に立つ由紀に、笑顔を浮かべる余裕などあるはずもなかった。
そんな由紀の恥ずかしがる裸体を、パシャパシャという音とともに、何枚もレンズに収めていく亜紀子。
たっぷりと時間をかけて全身の写真を撮り終わったところで、亜紀子は由紀に指示を出した。
「それじゃあ、今度は胸を撮るから、少し斜めになってくれるかしら?
胸の膨らみがわかるようにね♪」
そんなことを言いながら、カメラの角度を由紀の胸元に合わせて調整している。
「……………………」
由紀は、無言でモジモジしながら視線をそらしていると、玲子から厳しい口調で言うことを聞くように注意された。
由紀は、指示されるままに身体の向きを変え、カメラに向かって斜めに胸を突き出すような格好をさせられる。
そして、わずかな膨らみの頂上で、震えるような尖りを晒している乳首をクローズアップするようにカメラの焦点が合わせられる。
「由紀ちゃん、もっと胸をそらせてちょうだい。
胸がちっちゃいんだから、胸を張らないとオッパイの膨らみがよく見えないわ」
亜紀子の言葉は、由紀の羞恥心とともに、女の子としての心に小さな傷を負わせた。
そんな由紀の心の動きを無視するように、カメラのシャッター音が小さな胸の膨らみを襲う。
「……や……ぁ……」
まるで、カメラのレンズに胸を愛撫されているかのような錯覚に、由紀の口から吐息が漏れた。
少しずつ荒くなる由紀の呼吸に合わせるようにかすかに動く胸の動きをとらえるかのように、亜紀子のカメラは次々と少女の淡い膨らみをそのレンズに収めていくのだった。
「はい、それじゃあ少し角度を変えてもう少し撮りましょうね」
由紀の胸元を、さまざまな角度から写真に収めていく亜紀子。
由紀は、言われるがままに、恥ずかしい胸元をカメラの前に晒すしかないのだった。
そうして幾枚ものオッパイ写真が撮影されたところで、次の指示が出された。
「それじゃあ、次はいよいよ由紀ちゃんの女の子の部分を撮りますからね。
そこの床に腰を下ろして」
「……………………」
いよいよ由紀がもっとも恐れていた言葉が、亜紀子の口から発せられた。
予想していた言葉とはいえ、その言葉に、すぐに従うことなどできはしない。
脚をそろえて立ったまま、身動きもできずに躊躇していると、その様子を玲子が見咎めた。
「ほら、なにをしているの?
紺野先生の言ったことが聞こえなかったのかしら?
そこに腰を下ろして、脚を開いて見せなさい!
どんな写真を撮るのかは、さっき生徒手帳を見たんですから、わかるでしょう」
そう、どんな写真を撮られるのかがわかっているから、由紀は動けないでいるのだった。
しかし、そんな由紀の心の葛藤を許すようなことはあり得ない。
「はやくしなさい!
いつまでも言うことをきかないようなら、あなただけ特別に中まで開いた開帳写真にするわよ」
「…………は……はぃ…………」
由紀は、玲子の声高な叱責に身体をすくませ、ゆっくりと腰を下ろし出した。
床に小さなお尻を下ろし、そして、しばらくの逡巡の後、恐る恐る両脚を左右に開いていった。
開かれた両脚の間には、真っ白で無垢な肌にひとすじ刻まれたツルツルの割れ目が露になっていく。
そうして、大きく開かれた由紀の股間は、何ものにも隠されることなく、その恥じらいの姿を晒すことになったのだった。
「はーい、由紀ちゃんのかわいい女の子の割れ目が見えたわね。
両手は後に回して、もっと両脚を開いてちょうだい。
そうそう、もっと股間を突き出して。
割れ目とお尻の穴がよく見えるようにするのよ」
亜紀子の指示は、あまりにも恥ずかしい姿を強要するものであった。
しかし、聖女学園の女子生徒は、女性教師の指示に逆らうことは、許されない。
由紀は、言われるままに、さらに両脚を開き、腰を突き出すような破廉恥な格好をとったのだった。
「それじゃあ、写真を撮るから由紀ちゃんはそのままの格好でいてね」
亜紀子の声とともに、数え切れないほどのシャッター音とフラッシュが繰り返され、由紀の女の子としてもっとも隠しておかなければならない秘密の部分を、たっぷりと記録に収めていくのだった。
「由紀ちゃん、お疲れ様でした。
これで生徒手帳用の写真撮影は終わりよ」
こうして、20分ほどにもわたる由紀の破廉恥写真撮影が、ようやく終わりを告げた。
しかし、由紀の受難は終わった訳ではない。
「それじゃあ、次は身体測定ね。
そのままの格好でこっちに来てちょうだい」
「……ぇ……」
「今から、生徒手帳に記録する由紀ちゃんの身体の測定をしますからね。
身長と体重、バスト・ウェスト・ヒップのスリーサイズのあとは、オッパイのトップ・アンダーとカップ、乳輪の直径・乳首の直径・高さを測るわよ。
それが終わったら下半身ね。
割れ目の長さから陰毛の有無、クリトリスの直径・高さ、膣直径と深度、肛門直径としわの数、最後に排泄時の最大肛門直径の測定よ。
測定には1時間ぐらいはかかると思うけど、我慢してね」
「ひぅっ……!」
亜紀子の身体測定の中身を聞かされた由紀は、小さな悲鳴を上げて逃げ出そうとした。
あまりにも恥ずかしすぎる身体測定である。
そんな測定になど身を任せられるはずもない。
しかし、身を強張らせて振り向いた由紀の目の前には玲子が行く手を塞いでいた。
「水野さん、どうしたんですか?
今の紺野先生の説明が聞こえなかったのかしら?
今からあなたの身体の隅々まで調べると言ったのよ。
早く、そこの測定台の上に乗りなさい」
「……いやあぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!!」
玲子の冷徹な言葉に由紀の悲鳴がこだましたのだった。
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由紀は、少し前に行われた自分自身の生徒手帳用写真撮影と、それに続いた身体測定を思い出し、真っ赤な顔でうつむき身を強張らせた。
今、思い出しただけでも、あまりの恥ずかしさに信じられない体験であった。
由紀自身は、まだ自分が「生徒手帳検査」を受けたことはない。
しかし、いずれは自分自身がこの検査を受けることになることは避けられないだろう。
聞くところによると、先日、希も「生徒手帳検査」を受けさせられたと聞いている。
そのときには、検査の途中で生徒会長の三条院結衣香が通りかかり、一緒に検査を受けさせられていた1年生の美奈とともに助けてもらうことができたらしい。
そんな幸運は、そうそう訪れるものではないだろうが、由紀たち女子生徒たちにとってはわずかな望みの光でもあるのだった。
しかし、そんな由紀の思いは、思いもよらない形で裏切られた。
玲子は「生徒手帳検査」の通達に続いて、さらなる通達を告げた。
「なお、連絡が遅れましたが、実はきのうから『生徒手帳検査強化週間』を開始しています。
今から配るプリントにも書いてありますが、強化週間中の検査方法については、検査員である男子生徒に一任することとし、特にこの強化週間では目視のみの確認に頼ることなく、積極的な触診により詳細な確認を実施することを推奨しています。
ですから、検査対象となった女子生徒は、検査員の指示に従って、速やかに要求される姿勢を取って、検査に協力することを義務付けます」
ただでさえ、恥ずかしすぎる「生徒手帳検査」であるが、さらにそれにも増した辱めを受けさせられることが通達されたのである。
しかし、それに続いて配られたプリントが女子生徒たちに与えた衝撃は、あまりにも大きいものであった。
そのプリントには、先ほど玲子が説明したように、検査の強化としてその検査方法を男子生徒に一任する旨を説明している文章に続いて、その一例として昨日の事例というのが載っていた。
そこには、聖女学園の女子生徒たちの希望の光たる生徒会長の結衣香が「生徒手帳検査」を受けた姿が、写真つきで掲載されていたのである。
つい2日前には、生徒会長の権限を使って希と美奈を救った結衣香のあられもない姿が、あまりにも無残な説明とともに恥辱の姿が写し出されていたのだった。
「……そ、そんな……」
希は、結衣香のあまりにも惨めな姿に絶句し、そしてひとしずくの涙を落としたのだった。
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