第103章



 週末も終わり、月曜日の朝・・・・・・、寮の一室で登校の身支度をする2人の少女がいた。
 もう、朝食も終わりトイレも済ませて、あとは着替えて学校に行くだけである。
 しかし、その2人の少女は、なかなか寝間着を脱ごうとしない。
 その2人の少女は、由紀と希であった。

 由紀は、かわいらしいパジャマに身を包んでいる。
 一方希は、Tシャツとハーフパンツという着合わせであった。
 そろそろ学校に行かなければならない時間になってきている。

「希ちゃん・・・、やっぱり・・・・・・は・・・・・・・・・・・・・・で、学校に行くの?」

 由紀は泣きそうな目で、希にも聞き取れないような小さな声で訴える。
 しかし、希はその聞き取れない由紀の言葉を正確に受けとめ、うなずいた。

「うん・・・、そう・・・。
 由紀ちゃん、我慢して。
 もう、学校に行かないと・・・・・・」

 希のその答えに、由紀は俯いて小さくうなずいた。

 そして、2人は無言で寝間着を脱ぎ始めた。
 無駄な努力とわかっていても、壁一面のマジックミラーに注意して衣服を脱いでいく2人。
 わずかのためらいの後、下着すらも脱ぎ去って、全裸になる由紀と希。
 しかし、彼女たちが身に着けるはずの制服は、彼女たちの部屋にはないのだった。
 先週土曜日の放課後、学園の女子生徒は全員、制服を学園内のクリーニングセンターに提出してしまっているのである。
 1着しかない制服を奪われた少女たちには、学校に行くために身に着ける衣類は、残されていない。
 すなわち、月曜日の朝の登校時は、女子生徒は全員、全裸での登校が強いられるのである。

 希と由紀は、全裸に靴下だけという倒錯的な格好で、鞄だけを手にして部屋を後にしたのだった。

 しかし、寮の玄関まできたところで、由紀が、外に出ることを拒んでしまった。

「ダメ・・・・・・やっぱり、こんな格好で外なんて出られない!」

 それも当然の反応であろう。
 つい、1週間前までは、普通の学校に通う、普通の女子中学生だった由紀が、今、何一つ隠していない全裸で外に出ようとしているのである。

「由紀ちゃん・・・・・・」

 希にも、その気持ちは痛いほどよくわかる。
 希にしても、外に出たくない気持ちは一緒だ。
 これまでの1年間のこの学園での生活が、希に、ある種の諦めと覚悟を覚えさせるのに十分であっただけである。

「おとといも、外に出たでしょう・・・、頑張って」

 希は、由紀を励ます言葉を探したが、見つからない。
 確かに、おとといの土曜日も、下校のとき全裸で外に出た。
 あのときは、裸で外に放り出されたという感覚が強く、とにかく早く寮に帰るという思いで精一杯だったのである。
 しかし、今は、自ら裸で外に踏み出そうとしているのだ。
 より一層の辱めを受けるために・・・・・・。
 聖女学園に来て日が浅い由紀にとって、簡単に覚悟を決められるようなものではなかった。

「由紀ちゃん・・・このまま、遅刻なんてことになったら、裸で外を歩くより、もっともっと恥ずかしくてつらい罰を受けることになるよ・・・・・・。
 ・・・だから・・・」

 その言葉に、由紀の身体がビクッと震える。
 そう、聖女学園では、女子生徒に対しては特に厳しい校則遵守の規則が適用されている。
 朝の遅刻という学園生活における基本的な規則に対してもそれは同様であり、仮に男子生徒が遅刻をした場合には何らお咎めを受けることはないのだが、女子生徒が遅刻した場合には、非常に厳しい罰が用意されている。
 希も、以前そのことを由紀に説明したことがあった。  


 校則によると、始業開始のチャイムが鳴るまでに、教室にいない女子生徒・・・・・・すなわち遅刻した女子生徒は、時間遵守という最も基本的な規則を違反した罪を問われるということになり、違反した時点から24時間の間、タイムキープ用ローターを膣内に挿入された上で、薄手の布でできた貞操帯で下半身を封印されてしまうのである。
 このタイムキープ用のローターは、学園のチャイムと連動して動作する仕組みになっており、チャイムが鳴る5分前に振動を開始し、そしてチャイムが鳴り終わってから5分後に、その振動を停止させる。
 したがって、都合チャイムの前後10分間、振動しつづけるのである。
 このローターの振動によって、時間感覚を身体で感じることで、規則正しい生活を行えるように指導するためと言われている。
 しかも、学園のチャイムは、学校が始まる時間や、その予鈴、各授業の開始・終了時刻のほかにも、放課後を知らせるチャイム、帰宅時間を知らせるチャイム、寮の食事時間や門限、消灯時間にまでチャイムが鳴り、起床時刻として早朝にもチャイムが鳴る。
 その音は、寮まではほとんど届くことはないのだが、タイムキープ用ローターは、そのチャイムの時間に正確に振動を開始し、10分間震えつづけるのである。
 薄手の布製とはいえ、貞操帯によって股間が閉ざされているため、自分の手でそのローターを取ることも、振動を押さえることもできはしない。
 ただ、その苦悶の時間が早く過ぎ去ることを祈りながら悶えることしかできないのである。
 さらに、貞操帯の装着ということで、通常のバイブ付き椅子に座ることのできない女子生徒は、授業中、自分の席のところで立って授業を受けることになっており、ひとり起立しながら、授業の始めと終わりにローターの振動で悶える姿を周りのクラスメイトたちの目に晒さなければならないことになっている。
 しかも、貞操帯とはいいながら、薄い布でできているために、股間への刺激は簡単に通過し、授業中のいたずらや三角坊を渡るときの刺激は直接股間に響いてくるため、その仕打ちを受ける少女は、二重の刺激に耐えなければならないのである。


 以前、希にそう説明を受けていた由紀は、その仕打ちを受ける自分の姿を想像して・・・・・・いや、想像できなくて、顔を赤らめ俯いた。
 もし、学校に遅れたら、そんなあられもない罰を受けなければならない。
 そして、それは由紀にはとても耐えられない恥辱の罰となることは、言うまでもないことであった。

 由紀は、ついに決心を固め、外に一歩を踏み出した。 


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