第93章


 男子たちに情けなくお尻を晒した格好での食事が終わったころ、恵理子が再び反省室の中に入ってきた。

「あら、きちんと朝食を食べたみたいね。
 きのうは食べていなかったから心配していたのよ。
 快食快便が健康の第一歩なのですからね」

 恵理子のその言葉に、一瞬、身体が強ばる希だった。
 そう、食事を口にするというのは、さきほどの屈辱的な姿を晒すだけではとどまらず、その後に訪れる恥辱も約束されるということなのである。
 そのときは、今すぐに訪れるわけではないが、いずれ必ず訪れる。
 どんなにプライドの高い少女であっても、生理現象から逃れることはできないのである。

「それでは希さん、学校に行く準備をしますよ」

 恵理子はそう言って、手にしてきた制服を広げた。
 それは、これまでに何度か反省室に入ったことのある希には、見覚えがある制服だった。
 通常、反省室に入る女子生徒は何らかの拘束を受け、今回の希のように両手を背中で戒められることが多い。
 そのため、普通に袖を通すような形の制服を着ることはできないのである。
 それ以上に、反省中の生徒には、より反省を促すために、「自らの『より罪深い部分』を晒すことで、罪の償いとより深い反省を与える」という理由から、また、「反省者が生半可なプライドや矜持を固持していては、十分に反省することができない」という理由から、反省中の女子生徒は、女の子として隠しておきたいあらゆる部位、すなわち、胸、股間、お尻を、常に全てさらけ出さなければならないことになっている。
 特に、聖女学園の女子にとって、女性器を晒すことは一番の反省・謝罪の意を示すこととされているため、反省中の女子生徒はその部分を隠すことは許されない。
 また、常に秘部を晒させるようにし、普段以上に破廉恥な姿を晒させることで、どんなに取り繕おうとも中途半端なプライドを持たせないようにするという意味も含まれているとされている。
 そして、反省中の女子生徒には、その機能を満たす特別制服が貸し出されるのである。

 基本的なデザインは通常の制服同様、セーラー服とミニスカートなのだが、セーラー服のほうは、今の希のように腕を戒められて袖を通すことができない生徒のために、一枚布でできた前掛けのような貫頭衣型のセーラー服となっている。
 セーラーカラーとリボンこそ、通常の制服と同じだがセーラー服の生地は前掛けのように前後にかぶせられているだけである。
 しかも、胸を晒す仕様のため、ちょうど胸のふくらみの部分が四角くくり抜かれた形になって、少女のいたいけな胸元を剥き出しにしている。
 さらにスカートのほうは、通常制服のように左右に分かれたセパレートミニスカートではないが、スカートの前と後ろ、ちょうど少女の下腹部の部分とお尻の部分の丈が股上10cmと極端に短くなっており、少女の恥ずかしい割れ目から恥毛まで、絶対に覆い隠すことがないような形になっている。
 したがって、左右に分けるまでもなく、女の子の恥ずかしい部分は、常に表に露になっているのである。
 このいつも以上に破廉恥極まりない制服が、反省室に入れられた女子生徒が、学校で着用しなければならない制服なのだった。

 恵理子は、一枚一枚希にその制服を着せていき、身支度を整えていく。
 しかし、整えれば整えるほど、希の姿は、卑猥で破廉恥な姿となっていくのだった。
 そうして最後に、希の頭に黄色いリボンを巻いてキュッと結んだ。
 この頭につけた大きなリボンが、反省中の女子生徒を表すシンボルとされているのである。
 学校の中では、場合によっては、制服は着替えたり脱いだりすることもあるため、反省中の生徒の目印には、この髪を飾る大きなリボンが使われることになっている。
 このリボンは、登校から下校するまでの間、外すことは許されず、また、1年生の反省者には青色、2年生の反省者には黄色、そして3年生の反省者には赤色といったように学年ごとに定められており、どこで見かけても、何年生の反省者なのかがすぐにわかるようになっている。
 しかし、このリボンは、ただ反省者を識別するだけの役目を果たしているのではなく、男子生徒にとっても大いに意味がある目印になるのだった。
 反省中の女子生徒には、通常であればわずかとはいえ認められたり大目に見られたりしている教師および男子生徒への意見や反論、抵抗、抗議といった権利が一切剥奪されるのである。

―――反省中の生徒が口答えや抵抗をしていては他生徒への示しがつかず、反省していることにならない―――

 というのが、その理由とされているが、これはすなわち、あらゆる要求・要望に対して拒否の意を示すことも許されず、無抵抗で従順に従わなければならないことを意味する。
 いつもであれば許されるささやかな抵抗行為 ―――たとえば、スカートをめくられたときにスカートを押さえたり、いたずらする男子の手から逃げたり、男子の身勝手な要求を無視したり、文句を言ったり、男子や教師からの呼びかけに答えなかったり、返事をしなかったり――― といったような、些細なことすら一切認められないのである。
 その不当行為が発覚した場合、即座に教員・寮職員に連絡され、「反省期間の延長」や「特別指導」といった罰則が施されることになっている。
 この際、そのときの事情や状況、周囲の環境や本人の心情といったものは、一切考慮されることはなく、規則を破ったという事実のみが取り上げられる。
 したがって、男子生徒は、この反省中のリボンをつけた女子生徒を見かけると、安心して、そして積極的に、どんな要求でもイタズラでもし放題というのが、公然の了解事項なのであった。
 しかも、その女子生徒は、反省中ということで局部の露出を義務付けられており、何もかもが丸見えとなっている。
 男子生徒たちにとって、反省中の女子生徒というのは、それが希のように普段どんなに生意気で反抗的で、勝気な女の子であろうとも、いや、そんな普段弱みを隠しているような女の子こそが、最高のおもちゃとなるのだった。


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