第82章


 ベッドの中にもぐりこんだ瑞穂と由紀。
 その夜、由紀は生まれて初めて、自らの手により自らの身体を慰めることを経験することとなった。
 部屋の中に、由紀と瑞穂の、甘く切ない吐息の音がこだまする。
 ふたりとも、頭まで布団をかぶり、もぐりこむようにして身体を震わせていた。

 しかし、まだ自慰初心者の由紀は、自分の身体を慰めるだけの技術が伴っていない。
 きのうは、希がこの疼きを鎮めてくれたが、今は、自分の指先だけが頼りである。
 布団の中で、由紀は催淫剤による衝動のままに、股間の割れ目に指を沿わせ、稚拙な愛撫を繰り返す。
 その淡すぎる刺激は、由紀の身体の疼きを鎮めるどころか、逆に焦らし昂ぶらせるだけの効果しか上げることはできなかった。
「んぅ・・・・はぁ・・・・だ、だめ・・・・・・・・ぅぅ・・・・・・」
 由紀は、布団の中でくぐもった声を殺しながら、ただ、股間から広がる熱にうなされていた。
 

 一方、瑞穂は恥じらいと罪悪感にさいなまれながらも、1年掛けて培ってきた自慰テクニックで、自らの身体を慰めていく。
「んふぁぁ・・・・んぅ・・・恥ずかしい・・・・でも・・・・くぅ・・・」
 瑞穂は、パジャマの中に手を差し入れ、右手で股間を、左手で乳首をさすっていく。
(あぁ・・・きょうも・・・こんなこと・・・・・・・・・・でも・・・我慢でき・・・・・・んぅぅっっ)
 繊細な指先で、うっすらと繊毛に彩られた丘の割れ目を擦り、ゆっくりと包皮にくるまれた敏感な肉芽をいたわるようにノックする。
「あ・・・ふぅ・・・」
 どうしても、快感よりも羞恥心のほうが大きく上回る瑞穂は、とても1年間、自慰を繰り返したとは思えないほどに稚拙な指使いで、自らの女の欲求を鎮めようと努力する。
 布団の中で小さくうずくまるようになりながら、恥じらいと性欲の板ばさみになりながらのオナニーは、入学してから何度も何度も繰り返されてきた。
 だが、その自慰テクニックの成長は、ほかの少女たちと比べると、あまりに遅い。
 しかし、瑞穂は自らの精一杯の手練で身体を慰めることしかできないのだった。

 左手で小さな乳首をキュッと摘み上げる。
「んぁぁぁっっっ!」
 催淫剤の効果によって敏感になった胸のつぼみが、瑞穂の指先で一気に体積を増した。
(あぁ・・・こんな・・・・・・乳首が・・・・)
 稚拙なオナニーの中、瑞穂は、人一倍乳首が敏感に成長していた。
 羞恥心の強い瑞穂はどうしても、下半身を大胆に責めることができないのである。
 しかし、それでは十分な快感を得て絶頂まで持っていくことができなかった瑞穂は、ついつい上半身への愛撫で高みに上るようになっていた。
 もちろん、胸への刺激だけで絶頂を迎えられるわけではない。
 胸への刺激をきっかけにして、全身の性感を呼び起こし、少しずつ高みに昇り詰めていくのである。
 布団の中で、自分が今何をしているのか、男子たちの視線に晒されないように、控えめな動きで、自分の性感帯をゆっくりと昂ぶらせていく。
 それが、瑞穂のオナニーだった。
 何度も何度も胸と股間の3つの敏感な豆粒を、交互になで上げ、つまみながらさすっていく。
 しかし、それだけではやはり、この淫猥な催淫剤によって昂ぶらされた性欲を発散させることはできない。
(あぁ・・・やっぱり・・・これだけでは・・・・・・・きょうも・・・・んぅぅぅ)
 瑞穂は、布団の中でうつぶせになった。
 そして、熱く火照った顔を枕に押し付けながら、膝を折って亀のように丸くなり、それからパジャマの上着の裾を大きくめくり上げ、そしてズボンと下着をずり下ろした。
 布団の中で硬く勃起した瑞穂の乳首と、恥蜜を溢れさせた下半身が露になる。
 瑞穂は、その乳首を敷布団のシーツにかすかに触れるか触れないかのところで前後左右に揺さぶり始めた。
「んぅぅぅぅっっっっ!!!」
 顔を枕に押し付けているためにくぐもった声がわずかに漏れる。
 上半身を揺さぶってシーツとの摩擦によるフェザータッチを乳首に与えながら、瑞穂は両手を股間へと伸ばす。
 そうして、既に硬くしこったクリトリスを右手の指先で優しく愛撫しながら、左手の指先で膣前庭から尿道口を往復する。
「んぅぅっっ、んっ、んっ、ぷはっ・・・んぅぅ・・・」
 まるで泳いでいるときのように、ときおり顔を枕から浮かせて息継ぎをしながら、瑞穂は淫らなオナニーにふけっていく。
 この、普段の楚々とした瑞穂からは想像もできないような浅ましい姿でのオナニーは、瑞穂が男子はおろか、女子のクラスメイトにさえも秘密にしている、もっとも恥ずかしい秘密のひとつであった。
 毎夜、ひとりで布団の中で繰り広げられる恥ずかしすぎる自慰。
 稚拙な指使いの中で果てることのできないもどかしさから築き上げた、瑞穂のオナニー法である。
 こんな恥ずかしい格好でのオナニーなど絶対にしたくはないのだが、瑞穂の稚拙な指先のテクニックだけでは、この催淫剤に犯された身体の疼きを鎮めることは到底不可能で、どうしても、全身を使った大胆なオナニーを余儀なくされてしまうのである。
 しかし、きょうは、その亀のような格好での全身オナニーも、思うようにままならない。
 それは、いつもであれば、鏡の向こう側にいるであろう男子生徒の視線に注意をしながらも、部屋の中でひとりで自慰にふけっていられたのだが、きょうは、同じ部屋の中に由紀がいるのである。
 そして、ベッドの方から聞こえてくる息遣いから、まだ由紀が起きて、淫らな疼きとせめぎあっていることがわかる。
 それは裏を返せば、自分の様子も由紀に知られているかもしれないという不安が付きまとい、たとえ女の子同士の友達にも、自分がこんな浅ましい姿でオナニーをしているなどとは恥ずかしくて知られたくない。
 そういう不安が、瑞穂のいつもの性戯の昂ぶりを抑制しているのだった。
 

 しかし、由紀にはそんな瑞穂の様子を気遣うような余裕は、かけらもなかった。
 両手をパジャマの中に入れ、ショーツの上から股間を押さえつけている由紀。
 だが、そんなことで昂ぶらされた性欲が収まるはずはなかった。
(あぁ・・・これ・・・・・・どうすれ・・・ば・・・・・・んぅぅぅぅっっっ・・・)
 手のひらを股間にあてがっても、十分な刺激が得られるはずもなく、ただ、熱く溜まった官能の濁流が渦巻き、全身を駆け巡るだけである。
「んぅぅぅぅっっっ・・・あ・・・あつい・・・あそこが・・・・・・・んんっっ・・・」
 由紀は、余りの疼きに耐え切れず、ショーツの中に手を差し入れた。
「んはぁっっっ!!!」
 熱く火照った無毛の恥丘に、冷たい手の感触が重なる。
 一瞬心地よい感覚が広がるが、すぐにそのぬるま湯のような愛撫では、身体が物足りなさを要求してくるのだった。
(・・・こ・・・ここ?・・・・・・が、・・・・確か・・・でも、恥ずかし・・・・・・・・んぅぅ・・・我慢・・・できな・・・・ひっ・・・)
 由紀は、恐る恐る、きのうきょうと、再三にわたって快感を送り込んできた、敏感な器官に指を伸ばした。
「んっっっはぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!」
 由紀の指先が最も敏感な肉芽に触れた瞬間、これまでの愛撫をはるかに超える快感が、由紀の身体を駆け巡る。
(や・・・やだっ・・・ビリッて・・・・・・こ・・・怖い・・・でも・・・んあぁあぁぁぁっっっっ!!!)
 震える指先で再度肉豆愛撫を繰り返す由紀。
 しかし、不十分な刺激にさらに疼き出す股間は、勝手に震え、動き出し、由紀の意思には反して布団の中で空腰を振りたてる。
 いまや、由紀の股間はまるでおもらしでもしたかのように愛液でぐっしょりと濡れ、ショーツもパジャマも既に大きなシミを広げて透けてしまっていた。
 そして、由紀の身体を包み込んでいる布団の中は、女汁の甘ったるい香りがこもってむせ返っていた。
「あぁぁっっっ・・・・んぁぁっ・・・・くぅぅ・・・んひっ・・・はぁぁ・・・」
 もはや、由紀は声を押し殺すこともできずに、喘ぎながら無造作に股間を擦り上げていた。
 その様子は、布団の中にあっても、外からはっきりとわかるほどに大きく、そして稚拙な動きであった。
(やだっ・・・やめて・・・・・・こんな・・・・くひぅ・・・手が・・・腰が・・・勝手に・・・・・あぁぁぁっっっ・・・・・・・あふ・・あふれちゃうぅっ!!)
 トプッという音とともに、由紀のヴァギナから大量の愛液が零れ落ちる。
 濃い粘度をもった由紀の愛液は、手と股間を濡らして布団の中に染み込んでいく。
 しかし、由紀はいまだ絶頂に達することすらできずに、悶々とした淫らな迷宮の中にいた。
「あひぃ・・・・ふはぁぁ・・・・・・んぐぅ・・・・くはっ!・・・もう・・・許して・・・・・・・・おねが・・・んんんっっっ!!」
 布団の中で身悶え、ときおり痙攣しながらブリッジする・・・それでも、由紀が得られるのは軽いアクメだけであり、深く身体を駆け巡るような絶頂を得ることはできないのだった。

 そうして、由紀は未熟な手淫に身悶えながら、瑞穂は同室のクラスメイトを気にしながら、延々と喘ぎ声とよがり声を漏らしながら、長い長い夜を過ごすのだった。


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