綾と瑞穂の豆絞りの糸が、2人の少女の絶頂とともに解かれてから、ようやく帰りのホームルームが始まった。
「はい、みんなきょう一日ご苦労さま。
女子のみんなも、きょうはいつも以上にお疲れの様子ね」
亜紀子は、そう言って教室に点在する少女たちの顔を満遍なく見回した。
亜紀子に見つめられた少女たちは、皆、赤い顔をしてうつむく。
亜紀子の言う「お疲れの様子」とは、少女たちにとって余りにも恥ずかしい出来事の結果なのである。
まともに、亜紀子の顔を見ることなど、できようはずもなかった。
「それじゃあ、きょうの連絡事項は・・・」
亜紀子は、ついさっき2人の少女を快感の渦に引き込んだことなど忘れたかのように、淡々と連絡事項を告げていく。
そうして、ホームルームの締めくくりに亜紀子は、
「それでは最後に、佐藤希さん」
と希に声をかけた。
「は・・・はい」
希もその声を受けて、ゆっくりと顔を上げて返事をする。
「3時間目に言ったように、放課後職員室まで来てください」
「・・・・・・・・はい」
亜紀子は、事務的な口調で希に告げ、希の返事を聞いてから、帰りのホームルームを終了した。
放課後・・・クラスの女子たちは希のもとに寄っていくが、希は、
「それじゃあ、わたし職員室に行ってくるから・・・」
と言って、すぐにクラスメイトの輪から抜け出した。
由紀は、急ぎ足で立ち去ろうとする希に声をかけようとしたところで、逆に希から声がかけられる。
「そうそう、由紀ちゃん、きょう掃除当番でしょ」
「え・・・あ・・・・う、うん・・・」
そう、確かきのう帰るときに、そんなことを話していたような気がする。
「・・・・頑張ってね!」
希はそれだけ言うと、きびすを返して教室を後にした。
「希ちゃん・・・・」
希の後姿を見つめる由紀は、心配そうな顔でその姿を見送った。
そんな由紀のところに、真由美が近づいてきた。
「由紀ちゃん、きょう掃除当番なの?」
「え・・・う、うん・・・・そうみたい」
「そんな・・・転校早々・・・・・・」
真由美は、由紀が転校早々に掃除当番に当てられていることに不安を感じているようであった。
「あのね、うちの学校の掃除当番っていうのはね・・・」
真由美が由紀に掃除当番について説明しようとしたところで、教室に残っていた亜紀子が声をかけてきた。
「あら、きょうは由紀ちゃんが掃除当番なの?
由紀ちゃん、うちの学校の掃除当番は初めてね」
「は・・・・はい」
由紀は、突然亜紀子に声をかけられて、戸惑ったように返事をする。
「それじゃあ、先生がやり方を教えてあげるわ。
真由美ちゃんは、綾ちゃんと瑞穂ちゃんの送り迎えよろしくね」
亜紀子はそう言いながら、まだふらふらとした状態で足元がおぼつかない綾と瑞穂を指さした。
「あ・・・・はい」
確かに、ついさっき余りにも凄絶な絶頂を迎えた2人の少女たちの姿は、心もとないものだった。
結局、真由美は2人を寮まで送り届けることになり、教室には、掃除当番である男子たちと由紀、そして亜紀子が残ることになった。
「さ、掃除を始めましょうね」
亜紀子は、明るく言いながら、教室の後ろの棚から1着の衣服を取り出した。
「はい、由紀ちゃん、お掃除用の服よ。
これに着替えてね」
亜紀子が取り出したのは、深い青色のワンピースに、白いエプロンのついた、まるでメイドさんが身に着けるような衣服だった。
由紀はその服を受け取ると、キョロキョロと周りを見回した。
だが、すぐにうつむいてしまった。
「そうよ、ここで着替えてね」
由紀の心の動きを正確に読み取った亜紀子が、由紀の無言の質問に答えた。
由紀は、諦めたように、一旦そのメイド服を机の上に置くと、頬を赤らめながら、セーラー服のスカーフをほどいていく。
そして、スカーフの次は、いよいよセーラー服に手をかけることになった。
と、由紀が視線を感じて周りを見回すと、同じく掃除当番として残っている4人の男子生徒たちが、じっと自分の方を見ているのに気がついた。
「いや・・・見ないで!」
由紀はそう言うが、そう言われて目をそらすような男子は、この聖女学園にはいはしない。
「ほら、由紀ちゃん早く着替えないと、掃除ができないわよ」
亜紀子もまた、由紀に早く着替えるように急き立てる。
「・・・・はい・・・」
由紀はうつむいて、セーラー服に手をかけると、片手で胸元を庇いながら、ゆっくりと脱いでいく。
その脱ぎ方は余りにも丁寧で、一瞬たりとも、由紀の乳首が男子の目に晒されることはなかった。
胸の発育が人よりも遅れがちなのも、うまく隠すことができた一因であった。
そして、片手で小さな胸元を隠しながら、亜紀子に渡されたメイド服を頭からかぶる。
ワンピース型のため、胸を隠したままでも服を着ることができたのは、由紀にとっては幸いだった。
そして、袖を通すと、由紀は思いのほかこのメイド服のスカートの裾が長いことがわかった。
由紀の膝ぐらいまで、裾丈があるのである。
今まで身に着けていた股下5cmの制服のスカートなど、もはや完全に覆い隠されている。
(わぁ・・・スカートの丈が長い!)
由紀は、この学校に来て以来、はじめて学校でまともな服を着たような気がした。
これなら、掃除当番で多少動き回っても、恥ずかしいところを見せなくてもよさそうである。
(やっぱり、掃除のときは普通の格好の方がいいっていうことなのかな?
いままで散々いやらしい目にあわされてきたけど、こういうところは普通の学校なんだわ)
由紀は、ちょっと安心した。
「さ、由紀ちゃん、制服のスカートを脱いで、着替えを終えちゃって」
「はい」
由紀は、ワンピーススカートのしたから、今まで身に着けていた制服の超ミニスカートを脱ぎ、きれいにたたんで机の上に乗せた。
これで、身に着けているのはワンピースのメイド服とエプロンだけだが、どちらも生地は厚く透けてしまうことはないばかりか、裾丈も制服とは比較にならないほど長い。
由紀は、余りにも頼りない制服からメイド服に着替えたことで、気が楽になっていた。