第24章


 玲子が教室を去った後、由紀は今渡された体操着を袋から出してみた。
 まずは、2枚のTシャツを袋から出した。
 1枚は襟と袖口が紺色の白いTシャツだった。
 そして、もう1枚の方は、襟と袖口が赤色で、こちらも全体の生地は白だった。
(紺色っていうのはこっちのことね)
 由紀は、2枚のTシャツを見ながらそう考えた。
(でも、どうして2枚もTシャツがあるのかしら・・・)
 疑問に思いながらも、由紀は、そのTシャツを広げてみた。
 そして、その2枚の違いについて少しだけわかったことがあった。
 紺色のTシャツは、かなり小さめのサイズになっておりまるで小学生の服のようである。
 しかし、引っ張ってみるとそれは想像以上に弾力を持っており、かなり伸ばすことができる。
 確かに、これなら中学生でも着ることができるだろう。
 逆に、赤いTシャツの方は、少し大きめのサイズになっている。
 そして、赤い大きめのTシャツの裏地の胸の部分に、羽毛のような柔らかい毛が生えているのに気がついた。
 そして、両方のTシャツともにその生地は非常に薄くなっており、今にも透けてしまいそうである。
(このTシャツって・・・・・・
 紺色の方は、小さいから身体にぴったりくっついちゃう・・・・・。
 でも、赤い方は、胸のところに・・・何この毛?
 もしかして・・・これもエッチな仕掛け?
 こんなの着たら・・・・)
 由紀は、このいやらしい仕掛けの盛り込まれた2枚のTシャツを不安げな表情で見つめていた。

 それから、思い出したように、残りの袋を開けてみる。
 そちらの袋から出てきたのは、Tシャツと同じく、紺色と赤色のブルマーだった。
 由紀は、まず紺色のブルマーを手にとってみた。
(あ、これは普通のブルマーだわ)
 由紀は、パッと見た感じでは普通に見えるそのブルマーに、ちょっと安心しながらさらに点検してみた。
 と、そのとき、普通と思っていたブルマーの股間の部分に違和感を感じた。
 由紀は、ブルマーの股間の部分を注意深く見つめる。
(や、やだ!!
 このブルマー・・・・・切れてる・・・・・)
 そう、この紺色のブルマーの股間の部分には、ちょうど女の子の恥骨のあたりから、お尻にかけて長いスリットが入っているのだった。
 一見したところ、そのスリットはお互いに重なり合っていて、とても穴が空いているとは思えない。
 しかし、少しブルマーを広げてみると、その合わせ目が離れて、細長い穴になっているのがわかる。
(こ・・・これを着ろというの・・・・・・し、下着もなしで・・・・・)
 由紀は、絶望的な表情になった。
 体育時間になれば、身体を激しく動かさなければならない。
 そんなときに、こんな股間に切れ目の入ったブルマーでは、とても自分の恥ずかしい部分を隠し続けることは不可能だろう。

 由紀は、顔を曇らせて、最後の袋を開けていった。
 最後の袋の中に入っていたのは、赤いブルマーであった。
 しかし、そのブルマーは一見して普通のブルマーとは違っていた。
 ブルマーの前のゴムの中心から、股間・お尻を通して、後ろのゴムの部分まで、真っ白いラインが入っているのである。
 ちょっと見ると、ブルマーの上に白いふんどしでも巻いているようにも見える。
 その白いセンターラインの部分だけは、周りの生地とは少し違っていて、まるでTシャツの生地のように薄くなっている。
(これって、何だろう・・・・・
 でも、た、多分・・・・・これも・・エッチな仕掛けなの・・・・よね)
 由紀は、これまでの経験から、このラインもまた、何かいやらしい仕掛けの一部であるということに気がついていた。
 しかし、その内容まではわからない。
 そのラインが一体何なのか考えているときに、ふと、袋の中にまだ何かが残っているのに気がついた。
 由紀は、赤いブルマーの入っていた袋の中から、何かを取り出す。
 それは、ピンク色をした小さな卵形のボールのようなものだった。
 それは、ピンクローターと呼ばれる、淫具なのだが、そんな知識のない由紀には、そのボールが何なのか、さっぱり見当がつかない。
(これって・・・・何?
 これも、エッチなものなの?)
 由紀は、そのピンクローターを手にとって、その純真無垢な瞳でまじまじと眺めていた。

 と、そこへ慌てたような希の声が聞こえてきた。
「ゆ、由紀ちゃん!!・・・・早くしまった方がいいよ。
 そんなの・・・まじまじと見るもんじゃないわ」
 希は、いまだにじっとピンクローターを眺めている由紀を諭すように言った。
「え、や、やっぱり、これってエッチなものなの・・・・」
 由紀は、慌ててピンクローターを袋の中に隠す。
「そうよ・・・・あとでその体操着のこと説明してあげるわ。
 でも、その前に、着替えなくちゃ。
 1時間目は、その体育よ」
 希はそう言うと、席を立ってかばんの中から自分の体操着を取り出した。
 希の机の上に紺と赤の2着の体操着が置かれる。
 体育の時間では、その直前までどちらの体操着を着るのかがわからないため、体育のある日は必ず両方とも持ってこなければならないのだ。
 希は、机の上に置かれた体操着から紺色のTシャツとブルマーを取り出すと、赤い方を再びかばんの中にしまった。
 そして、Tシャツを目の前で広げた。
「さ、由紀ちゃん、きょうは紺色のTシャツとブルマーよ。
 ・・・着替えましょう・・・・」
 希はそう言うと、わずかにうつむきながら、おもむろにセーラー服のスカーフに手をかけた。
 それを見て、由紀が驚いたように声を上げる。
「えっ!!
 の、希ちゃん・・・・・も、もしかして・・・・ここで着替えるの?」
 希は、そんな由紀の当然の問いかけに、目を閉じてうなずきながら答えた。
「そ、そうよ、由紀ちゃん。
 ここでは、着替えをするときは教室で・・・・・男子と一緒のところで着替えなくちゃいけないの。
 たとえ、どんな恥ずかしい格好になるときでも・・・・」
「で、でも、更衣室は?!
 わたし、きのう更衣室で着替えたわよ。
 確かにガラスのドアで外から見えちゃってたけど・・・・」
「それは、教師用の更衣室よ。
 先生たちはあそこで着替えるの。
 そっか、きのう由紀ちゃんあそこで着替えたんだ。
 でもね、生徒の女の子は、みんな教室で着替えなくちゃならないの。
 この学校には、ほかに着替えるための部屋はないわ」
「そ・・・・そうなの・・・・」
 由紀は、がっくりと肩を落として床を見つめた。
「さ、早く着替えないと時間がなくなるわ。
 男子たちもエッチな目で見てるけど・・・・・気にしちゃだめ」
「う・・・・・うん」
 由紀は、うなだれながらもおずおずとスカーフに手をかけていった。
 

 由紀がスカーフをとり、震える手をセーラー服の裾に掛けたとき、教室の別のところから声が聞こえてきた。

「うおぉーー、やっぱり真由美ちゃんの胸はでかいな〜」
「ほら、隠したって無駄無駄。
 Tシャツを着るときに、見えちゃうんだから」
「くっ・・・・み、見るな!
 あっちいけ・・・・」

「お、瑞穂ちゃん、少しおっきくなったんじゃない?」
「いや、まだまだだな」
「お、お願いします・・・・・こちらを見ないでください・・・・・」

「綾ちゃん、もっと食べないと大きくならないよ」
「いやいや、綾ちゃんはこのままの方がいいよ」
「あれ、ちょっと立ってるぞ」
「いやぁ・・・・言わないで・・・・あっち向いて!」

 それらは、由紀たちから離れたところで着替えている少女たちの恥ずかしい実況中継だった。
 しかし、それは由紀のそばでも起きている。

「希ちゃんの胸、かっこいい〜」
「希ちゃんの胸が、一番いい形してるな」
「うぅ・・・・・・・」
 希は、顔をうつむけて必死に胸を隠している。

 そして、とうとう男子たちの照準は由紀に向いた。
「由紀ちゃん、早く着替えなきゃ。
 時間がなくなっちゃうよ」
「そうそう、この後、体育館まで廊下を渡るんだよ。
 早く着替えなくちゃ」
 男子たちは、まだセーラー服に手をかけたまま動かない由紀を、にやつきながら急き立てる。
 由紀は、耳たぶまで真っ赤にし、男子たちの嘲笑に耳を貸さないようにしながら、震える手でセーラー服を脱いでいった。
 由紀は、まず両腕を袖から抜き、片手で両胸を隠しながらセーラー服を脱ぎ去った。
 そして、机の上に置いてある紺色の縁のTシャツを取ると、うまく胸を隠しながら着ようとしてみた。
 しかし、そのTシャツは普通の状態では非常に小さく、すっぽりとかぶることができない。
 確かに、かなり弾力があるため、きつくて着れないということはなさそうだが、全体を引っ張りながらでないと、身体を通すことはどうにも無理だった。
 そして、それは片手では不可能である。
 由紀は、片手でいろいろと試してみたが、結局そのTシャツを着ることはできなかった。
 由紀はとうとう観念して、今まで胸を覆っていた手を離し、両手でTシャツを着ることにした。
「お、由紀ちゃんのピンクの乳首!!」
「うーん、ちょっと小さいかな〜」
「ちょっと硬くなってるんじゃん?
 もしかして、興奮してきたとか?」
「いや!見ないで!!
 興奮なんかしてない・・・」
 由紀は、男子たちのからかい声にはかない抵抗をしながらも、急いでTシャツを着ようとしていた。
 しかし小さなTシャツのため、由紀はなかなか身体を通すことができない。
 10秒ほどの間、無防備な胸を男子たちに晒した後、ようやくTシャツを胸に下ろすことができた。
 しかしそのTシャツは、小さな生地をめいいっぱい伸ばして着ているため、身体に見事にフィットしている。
 それは、由紀の小さな胸の膨らまでも忠実に表しており、まるで水着のように身体に張り付いている。
 しかも、かなり薄い生地でできているのが、引っ張られることによりさらに薄くなり、由紀の乳首のところの形状までもはっきりと再現されてしまっていた。
「いや・・・このTシャツ、小さすぎる・・・・」
 身体にぴったりと吸い付いたTシャツは、由紀の鎖骨から、薄い乳房の膨らみ、乳首の突起、わずかに浮き出た肋骨、そして鳩尾のわずかなへっこみまでも、余すことなく上半身の形をそのままの形で表していた。
 由紀は、Tシャツを着たにもかかわらず、胸を押さえて隠しながら隣の希の方を見てみた。

 希もまた、ぴったりと身体にフィットした白いTシャツに身を包んでいた。
 希は、由紀よりも胸が出ているため、2つの膨らみが由紀以上にはっきりと盛り上がっている。
 由紀の視線を感じた希は、由紀につぶやくように言った。
「このTシャツは、水着よりもぴったりと身体に張り付くの。
 どんな些細な形もはっきりとあらわしちゃうわ。
 まるで、裸でいるみたいに・・・・・」
 希はそう言うと紺色のブルマーを取り出して、スカートをはいたままの格好で脚を通していった。
 由紀も、片手で胸をかばいながら机の上から紺色のブルマーを手に取った。
 そして、もう一度ブルマーの股間の部分を見つめる。
 そこには、先ほどと変わらず、一本の亀裂が入っていて、引っ張ると、向こう側がその穴を通して見えてしまう。
(こんなの履かなきゃならないの・・・・。
 こんなの・・・・いやらし過ぎる・・・・誰が考えたのよ、ホントに・・・・)
 由紀は、このブルマーの考案者に無言の文句を言った後、身体を倒し、両手でブルマーを持ちなおしてから、片方ずつ脚を通していった。
 その間、薄皮一枚に守られただけの胸元がフリーになるが、どうしようもない。
 由紀は、とにかく早く着替え終わることだけを考えていた。

 両脚を通した由紀は、腰までブルマーを引っ張り上げる。
 直接ブルマーに当たっている由紀の股間に、ざらざらとした感触が伝わってきた。
(わたし、パンツもはかずにこんないやらしいブルマーを履いている・・・・)
 由紀は、スカートの中でそっとブルマーの股間の部分を触ってみた。
 脚を閉じた状態では、そこはスリットがぴったりと重なっており、普通のブルマーと何ら変わることはない。
(この状態だと、開いてないんだ・・・・で・・・でもぉ・・・・)
 由紀は、非常に些細な喜びと大きな不安を感じた後、最後にスカートを脱いだ。
 

 これで、体操着姿への着替えが完了である。

 上半身は、襟と袖口が紺色で縁取られた真っ白なTシャツ。
 しかもその生地は薄く、ぴったりと少女たちの身体に張り付いている。
 そして、下半身は今の状態では単なる普通の紺色ブルマー。
 しかし、そのブルマーの股間には1本のスリットが入っていて、今はそれが重なっているだけに過ぎない。
 そして、そのスリットは少女の恥丘のあたりから始まって、お尻の中ほどまで走っているのだ。
 その中に隠れているのは、下着すらも着けずにいる少女たちの秘密の花園。
 少女たちの羞恥心は並大抵のものではない。
 なまじ、隠されているためにさらなる羞恥が増しているようなものである。
 

 少女たちは、皆、上半身をあからさまに晒しているTシャツの上から手で胸をかばい、そしてもう片方の手で不完全に隠された股間を隠すようにしながら、男子たちの中で晒し者になっていった。


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