第15章


 寮に戻って普通の服に着替えた由紀はほっとした表情になり、ようやく落ち着くことができた。
 しかし希は、私服に戻ってほっとするのもつかの間、すぐに暗い顔になった。
「希ちゃん、どうしたの?」
 希のそんな表情に気がついて、由紀は聞いてみた。
 そして、この寮のある仕掛けについて教えられたのである。
「由紀ちゃん、落ち着いて聞いてね。
 この寮にはちょっとした仕掛けがあるの・・・」
 そう言って少し間を置いた後、続けて言った。
「この部屋にある、この大きな鏡はね・・・・あの・・・マジックミラーになっているのよ。
 こっちから見ると普通の鏡にしか見えないけど・・・反対側からは・・・・・」
「え、マ、マジックミラーって・・・・どういうこと!!
 この向こう側って・・・」
 そう言って、由紀ははっとした。
 由紀たちは入り口の左側のドアから寮の女子棟に入ってきた。
 そして、その入り口から進んでこの部屋は右側にある。
「そう、この鏡の向こう側は男子の寮になっているの・・・。
 そしてこの鏡は、こっちからは普通の鏡にしか見えないけど、向こう側からは単なるガラスになっているのよ・・・」
「そ、そんな!!
 じゃあ、この部屋の中って・・・」
「そうなの。
 この部屋はドアがガラスでできていて廊下を通る女の子から見られると同時に、常にこの鏡を通して男子側からも見られることになっているの。
 由紀ちゃん、恥ずかしがるといけないと思って、着替え終わるまで黙っていたんだけど・・・・」
「んっ!!」
 由紀は、この部屋に入ってから服を着替えるところを男子側から覗かれたということに気づいて、思わず両腕で胸を抱えるように身を強ばらせた。
 そして、そのままの状態で恐る恐る自分の後ろにある大きな鏡を振り返って、弱々しい声でつぶやいた。
「そ、それじゃあ、この部屋の中にいると、ずっと男子たちに見られているの・・・?」
「そうかもしれないわ。
 でも、こっちからは向こうの様子は全くわからないから・・・」
 由紀は希の説明を聞きながら、少しずつ鏡から離れていった。
 しかし、壁一面を覆っているような大きな鏡から隠れられるようなところは、この部屋の中にはない。
 由紀は仕方なく、目の前にある2段ベットの下の段に腰を下ろした。
 ここは、わずかに机の影になっており、鏡から隠れられるような気がした。
 希も、由紀の横に並んで座る。
「わたしね、この学校に来てから1年経つわ。
 今でも、この生活に慣れてなくて、いっつも恥ずかしい思いをしてる。
 でもね、はじめは我慢できないくらい恥ずかしくて、もう死んじゃいたいって思ったけど・・・今でも、すっごく恥ずかしいけど・・・何とか我慢できるようにはなったわ。
 恥ずかしいっていう気持ちは全然なくならないけど・・・多分、卒業するまでなくならないと思うけど・・・、我慢だけはできるようになったの。
 由紀ちゃんはきょうが初めてだから、きっと耐えられないくらい恥ずかしい思いをしてると思う。
 ホントに死んでしまいたいぐらいに・・・。
 だけど、負けないで。
 慣れなくてもいいから、恥ずかしいままでもいいから・・・・、頑張って耐えるの。
 それしかないわ。
 由紀ちゃんも、この学校を辞められないんでしょ」
 希の言葉の後、しばらくの沈黙が続いた。
 ずっとうなだれていた由紀が、「ふぅ」と小さく息を吐いた後、顔を上げて、希に向かって言った。
「う、うん、わかった。
 多分、わたしも恥ずかしいっていう気持ちはずっとなくならないと思う・・・・。
 けど、恥ずかしい思いはなくならないかもしれないけど・・・・・我慢できるように頑張る。
 もう、この学校しかいるところはないんだもん・・・。
 ありがとう希ちゃん」
 希の、慰めるような励ましの言葉に由紀はゆっくりとうなずいて、自分で自分を励ますように言った。
「うん、頑張って」
 希は優しく微笑みかけた。
 そしてベッドから立ちあがり、
「それじゃあもう少し肩の力を抜きましょ。
 確かにみんなに見られているかもしれないけど、もう、学校みたいにいやらしい格好しているわけじゃないんだもん。
 もう少しリラックスしなくちゃ」
 希は明るくそう言って、「うーん」と両手を上げて伸びをした。
「そうだ、由紀ちゃんの荷物片付けなくっちゃ。
 いろいろ持ってきたでしょ。
 タンスも棚も空いているから、一緒に片付けましょう」
 振り向いてそう呼びかける希に、由紀も表情を明るくして、「うん!」と答えた。

 2人は一緒に由紀の荷物のダンボールを開けて中の荷物を整理していく。
 ときおり、
「あ、この服かわいー!」
「ねえねえ、これなーに?」
「こういうぬいぐるみ持ってきたんだ〜」
 などと荷物を物色しながら、まるで先ほどの暗い雰囲気を振り払うかのように、明るく和やかに由紀の荷物を片付けていった。
 

 しばらくして荷物の整理も終わり、2人は希が持っていたお菓子を食べながらおしゃべりをしていた。
 そこへ、「コンコン」というドアをノックする音が聞こえてきた。
 2人がドアの方を見ると、ガラスドアの向こう側に綾と真由美、そして瑞穂の姿が見える。
 どうやら、真由美と瑞穂も学校から帰ってきたようだ。
「どうぞー」
 希が返事をすると同時に、ドアが開き
「そろそろ夕食の時間よ。
 一緒に食べに行こう」
 と真由美が声をかけてきた。
「え、もうそんな時間?
 ホントだ!
 さ、由紀ちゃん、わたしたちも食堂に行きましょ」
「うん」
 そうして5人はそろって食堂に向かっていった。
 

 夕食を食べ終わると、5人は一旦部屋に戻りお風呂に入ることにした。
 由紀も、学校で1日中汗をかき、恥ずかしい液でベトベトになった身体を早くきれいにしたかった。
 そうして、部屋に戻って下着の替えとパジャマとタオルを持って、希と一緒に浴場に向かった。

 浴場に着き、脱衣場に入ると既に真由美と綾が来ていた。
 先ほどの食事のときに聞いたのだが、真由美と綾は同じ部屋で生活しており、2年生では瑞穂が一人部屋で暮らしているということだった。

 由紀は脱衣場を見渡して、その広さに驚いたが、脱衣場の壁一面が大きな鏡になっているのに、驚きとともに一抹の不安を感じ取っていた。
 ふと、先に来ている2人を見ると、2人とも顔を赤くし、恥ずかしそうに身体を隠しながら衣類を脱いでいっている。
 その様子を見て、由紀は、自分の予想が当たっていることを確信した。
「希ちゃん・・・この鏡って・・・もしかしてわたしたちの部屋にあるのと・・・・」
 希は、ちょっとうつむいて、
「うん、同じよ。
 マジックミラーになっているの。
 浴場の中にもおんなじのがあるわ。
 だから、お風呂に入っているときも・・・ずっと・・・」
 と言った後黙り込んでしまった。
 しばらくの間、ともに赤い顔をした2人の間に沈黙が流れたが、その沈黙は希の言葉によって破られた。
「仕方がないのよ、こういう学校なんだもん・・・・・。
 入りましょう、由紀ちゃん」
「・・・うん」
 2人はそう言って、籠の入った棚の方に歩いていき、衣類を脱ぎ始めた。
 

 由紀は何とか身体を淫らな鏡から隠そうと、鏡に対して横向きになり、身体を小さく縮こませながら、1枚ずつゆっくりと脱いでいく。
 しかし、ワンピースと靴下を脱いだところで手が止まってしまった。
 鏡の向こうで男子たちがこちらを見ているかもしれないという、異常な状況でこれ以上自分の手で服を脱ぐことはできなかった。

 ちらっと希の方を見ると、希は顔を真っ赤にして由紀と同じように身体を横に向けて恥ずかしがりながらも、さっき身につけたばかりのスポーツブラに手をかけていた。
 ふと由紀の視線を感じた希は、由紀の方に顔を向けて、
「由紀ちゃん、ここのお風呂は水着の着用はもちろん、バスタオルの持ち込みも禁止されているわ。
 持ってっていいのは手ぬぐい1枚だけ。
 あとは、全部浴場の中にあるから・・・。
 恥ずかしいけど、我慢して。
 脱がないと入れないわ」
 希はそう言ってブラをはずした後、片手で胸を押さえて隠しながら、彼女の身体を覆っている最後の1枚に手をかけた。
 そして、一瞬手の動きを止めた後、決意したかのように勢いよくショーツを下ろし、黒々とした恥毛をさらけ出す。
 これで、希は一糸纏わぬ全裸になった。

 普通、風呂場の脱衣場で全裸になるのは当然のことである。
 しかし、この脱衣場は普通ではなかった。
 壁一面に張られた鏡を通して、男子側から丸見えになっているはずなのである。
 そんな中で、ストリップを行うのは中学生の少女たちにとって、恥辱以外の何ものでもなかった。
「さあ、由紀ちゃんも、脱いで。
 でないと入れないわ」
希は、手ぬぐいで下半身を覆い、胸を手で隠しながら由紀を促した。
「・・・う、うん・・・」
 由紀は、諦めた表情になり、ゆっくりと震える手を背中のブラジャーのホックに添える。
 しかし、両手が震えてうまくホックがはずれない。
 いかに頭で決心しても、身体と心がそれに反発しているのだ。
 どうにかして手の震えを抑えこんでブラのホックをはずした由紀は、片手で胸を隠しながらゆっくりとブラジャーを取っていく。
 由紀の小さな乳房は片手でもそのほとんどを覆い隠すことができた。

 ようやくブラジャーを脱いだ由紀だったが、まだ1枚残っている。
 こちらはブラジャー以上に脱ぐのに困難を極めるであろう、少女にとっての最後の砦だった。
 

 由紀は、左手で胸を押さえながらもう一方の右手をショーツの端にかけた。
 しかし、そこから手が動かない。
 頭でいくら動くように命令しても動かないのである。
 学校にいるときもみんなの前で股間を晒してしまっていたが、あれはどうしようもないHな制服を着ていたせいであって、自分の意思とは関係ない。
 しかし、今は男子に見られているかもしれないという状況の中で、自分の手で脱いでいかなければならないのだ。
 とても容易に決心できることではなかった。
 由紀が動けずに止まっていると、希が声をかけてきた。
「由紀ちゃん、脱げないんだったら手伝ってあげようか?
 それとも、きょうはお風呂に入るのやめる?」
 由紀は一瞬、「お風呂に入るのをやめる」という希の提案に乗ろうかと思った。
 しかし、学校で散々いやらしい目に遭わされて汗をかき、愛液で汚れてしまった体のままで眠るのはとても耐えられない。
 それに、仮にきょう逃れたとしても、これからずっとこの寮で暮らす以上、いつかは風呂に入らなければならないだろう。
 由紀は、仕方なく自分の手で脱ぐことを決心した。

 決心が鈍らないうちにと、由紀はショーツの端を掴んだままとまっている右手に力を入れて、思いっきり下に押し下げた。
 それと同時に由紀の無毛の割れ目が姿をあらわす。
 由紀は急いでショーツを籠の奥に押し込むと、タオルを取って腰に巻きつけた。
 タオルを腰に巻くわずかの間、由紀の薄い膨らみと、その頂上のピンク色の小さな乳首が顔を出した。
 由紀はタオルを巻いて股間を隠すと、またすぐに手で胸を隠した。
「それじゃあ、入りましょ」
 ようやく準備を終えた由紀を見て、希が声をかけ、2人は浴場のドアを開けて入っていった。


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