理科室の惨劇
〜優紀子と乃梨香の巨木磔 サイドストーリー〜



 優紀子と乃梨香が、校庭で巨木に磔にされ、光合成の実験という名の辱めを受けているころ……彼女たちのクラスメイト、3年生の女子生徒たちは、理科室にいた。

「先生っ……先生っ!
 ここを開けてください!」

 結衣香の声が教室の扉越しに廊下に響き渡り、そして扉を叩く音が鳴り響く。
 しかし、扉はむなしく音を立てるだけで、開くことはなかった。

「結衣香さん、何度言ったらわかるのかしら?
 どういう訳か、鍵がかかったまま開かなくなってしまった……と、先ほど説明しましたよ。
 今、扉を開ける方法を考えていますから、しばらく理科室の中でお待ちなさいと言ったでしょう」

 担任の女性教師が、扉の外から冷静な声で言い聞かせる。

 そう、優紀子と乃梨香が、「光合成の体験学習」という訳のわからない実験に連れ出されてから、残った女子……結衣香、真帆、亜美が理科室の後片付けを命じられ、居残りをさせられたのである。
 それは、連れ出されたふたりから、クラスメイトの3人を引き離すための足止めであることは明白だったが、教師に命令された以上、彼女たちに従う以外の道はない。
 そして、理科室の後片付けが終わり、外に出ようとしたところで、扉が開かないことに気がついたのである。
 それから、既に1時間以上が経過している。
 にもかかわらず、理科室の扉は開くどころか、鍵を開けようとする物音さえ鳴っている様子はなかった。
 結衣香たちは、男子とともに外に連れ出された優紀子と乃梨香の身体を案じて、すぐにでもふたりのもとに向かいたかったのだが、目の前の扉がそれを許してはくれなかった。
 それから1時間、先ほどのような結衣香と教師の不毛なやり取りが幾度か繰り返されていた。
 どう考えても、扉は故意に閉ざされているとしか思えない。
 とは言え、どれだけあからさまで理不尽な仕打ちであろうとも、この聖女学園においては教師が掲げる「建前」がすべてに優先される。
 それは、2年以上もこの学園で過ごしてきた少女たちには、身に染みて思い知らされていることであった。
 教師が、「扉の鍵が壊れた」と言っている以上、どのような理由があろうとも「扉の鍵は壊れている」のである。
 それを覆す力は、生徒会長の結衣香にもない。

「……っ…………」

 結衣香は、歯噛みしながら扉の前でこぶしを握りしめた。
 今、こうしている間にも、クラスメイトの中でも気が強く、男子から生意気と見なされているふたりの少女が、男子たちの前であられもない辱めを受けていることは明白である。
 もしかしたら、自分の持っている「生徒会長特権」を使えば、少しはふたりの助けになるかもしれない――結衣香はそう思ってふたりのもとに駆けつけようとしているのだが、この理科室の中で足止めを食らわされているのだった。
 そんな無力感に打ちひしがれている結衣香の心を案じて、真帆と亜美が結衣香に寄り添い、苦しみと悔しさを共有しているのだった。

   ・
   ・
   ・

 理科室の中に閉じ込められてから、5時間ほどが経過していた。
 もう、夜の7時を回っており、とっくに下校時間は過ぎてしまっている。
 外はもう暗くなっている。
 にもかかわらず、理科室の扉はいまだ開くことはなかった。
 もう優紀子と乃梨香は寮に帰っているかもしれない――結衣香はそう考えていた。
 実際には、優紀子と乃梨香はこの後、ひと晩じゅう野外に磔にされ、淫らな疼きに身を悶えさせることになるのだが、理科室から出ることのできない結衣香に、その事実を知るすべはなかった。

 少し前に、教師が扉越しに声をかけてきて、
を3人に告げた。
 そして、「夕食の差し入れ」として、廊下側の壁の下にある小さな小窓から、トレイに乗せられた3人分の食事を理科室の中へと送り込んだのだった。
 何時間も理科室の中に閉じ込められて憔悴していた3人の少女たちは、教師のその言葉に落胆し、そして憂鬱な面持ちで夕食を食べたのだった。

   ・
   ・
   ・

 食事を終えて30分ほどが経ったころ、もう日は完全に落ちて外が闇に包まれていた。
 もはや、明日の朝まで何もできることはない……結衣香が仕方なく気持ちを切り替え、外に連れ出されたふたりの身を案じつつ、物思いにふけっていたところで、異変は起こった。

「……っく……っ……」

 結衣香が、お腹に手を添えながら小さくうめいた。
 途端に、小さな違和感が形ある苦痛へと変わっていく。
 とっさに周りを見回した結衣香の目に映ったのは、自分と同じようにお腹を抱えてしゃがみ込んでいる真帆と亜美の姿だった。

(……しまった……)

 とっさに結衣香は先ほど食べた夕食のことを思い出したが、既に手遅れであった。
 すかさず、結衣香は扉の前に駆けつけ、扉を叩きながら声を張り上げた。

「先生っ、先生!
 扉を、扉を開けてください!
 はやくっ!」

 すると、まるで結衣香の行動を読んでいたかのように、扉の外から女性教師の声が返ってきた。

「結衣香さん、何度言ったらわかるの?
 扉は鍵の故障で、きょうは開かないと、さっき説明したでしょう。
 それに、そんなに慌ててどうしたのかしら?」

 そんなあまりにもタイミングの良すぎる反応に、結衣香は思考を巡らせる。

「先生……ずっと扉の前にいたんですか?」

「まさか、そんな訳ないでしょう。
 たった今ここを通りかかったところよ。
 それより、一体どうしたのかしら?」

 結衣香の心に、疑惑の念が広がっていたが、今は一刻を争うため、その疑念はひとまず置いておいた。

「先生、扉を早く開けてください!」

「だから、何度も言っているでしょう。
 扉の鍵が壊れているから開かない……って。
 あした、修理をするからきょうはそこに泊まるように言ったじゃない。
 ……それより、あなた方、体調でも悪いんですか?」

 突然、体調のことを聞かれた結衣香は、さらに疑惑を深め、女性教師に問いかけた。

「先生……もしかして、理科室の中の様子、見えているんですか?」

「えぇ、見えているわ。
 理科室の中には危険な薬品なんかもあるから、監視カメラがついているのよ。
 だから、安心しなさい。
 あなたたちの安全は、見守っていてあげますから」

 その受け答えに、疑惑はさらに深まっていき、すべては仕組まれたことだったということに思い至る結衣香。
 担任教師が、このタイミングで扉の前を通ったことも、決して偶然ではないだろう。
 しかし、彼女たちには、その真偽を問いただすだけの時間は残されてはいなかった。

「……と、とにかく扉をすぐに開けてください!」

「ですから、扉は開かないと言っているでしょう。
 鍵が壊れているんですから。
 一体どうしたというのですか、そんなに焦って……」

「…………」

 結衣香が言葉をつぐむ。
 しかし、苦悩は間を置けば置くほどさらに切迫していく。
 結衣香は意を決して口を開いた。
 どうせ、自分たちのこの状況は、担任教師にはわかっているはずなのである。

「……ト……トイレに行きたいんです。
 夕食に何かが…………いえ、夕食を食べてから、お腹の具合が悪く.なって。
 だから、早く……早く扉を開けてください!」

「あら……何か悪いものでも当たったのかしら?」

 それほど緊迫した感じもなく言い放つ女性教師。
 言葉尻を捉えられて口論になることを避けて、「夕食に何かが混ぜられていた」という言葉を飲み込んだ結衣香だったが、その教師の口調に、疑念は確信に変わる。
 しかし、その確信は何の意味もなさないものであった。

「……でも、いくらあなたたちの具合が悪くなっても、開かないものは開かないのよね。
 だって、『鍵が壊れている』んですもの」

「そ、そんなっ……それじゃあ、どうすればっ!……」

「我慢すればいいのではなくて?
 一晩くらい、どうってことはないでしょう」

「……むっ無理です! 一晩なんて絶対にっ……」

 結衣香の憤りが混じった言葉にかぶさるように、女性教師の声が教室に届いた。

「……でしたら、トイレの代わりにこの小窓から、洗面器を入れてあげるわ。
 これを使いなさい」

 その言葉とともに、先ほど食事が送られてきた壁の下にある小窓から、直径30センチほどの洗面器が、理科室の中へと差し入れられたのだった。
 その洗面器を見た結衣香と、真帆、亜美の顔が、さっと引きつる。

「……っっっ!!!」

 3人は、しばらく絶句する。
 そんな中、一番に気を取り直した結衣香が、扉の外に声を上げた。

「こんなのにできません!
 早く扉を開けてください、トイレに行かせてください!」

「わがまま言うんじゃありません!
 扉は、きょうは開かないんです。
 それに洗面器だって、親切心から、あなたたちのことを思って貸してあげたんですよ。
 それなのに、『こんなのにできない』だなんて……。
 それじゃあ、洗面器を返しなさい。
 ただし、教室をあなたたちの排泄物で汚したら、あなたたちの舌で舐めてきれいにしてもらいますからね。
 それでもいいなら、洗面器を返しなさい!」

「……………………」

「どうしたの? 結衣香さん!
 洗面器なんか使えないんでしょう!
 さっさと、洗面器を返しなさい!」

 もはや、結衣香たちに選択肢は残されていなかった。

「…………い、いえ…………せ、洗面器を……使います…………」

「あら、別に先生はあなたたちに、嫌々洗面器を使ってもらいたいわけじゃないのよ。
 トイレなんて本来、明日まで我慢すればいいだけの話なんですからね。
 だいたい、年頃の女の子が、大声で『トイレに行きたい』なんてことを口にするなんて、はしたないこと、この上ない。
 一晩トイレに行けないぐらい、なんだっていうのですか。
 本当なら放っておいてもいいところを、あなたたちのことを気遣って洗面器を用意してあげたというのに……。
 ほらっ、使いたくないんでしたら、小窓から洗面器を廊下に出しなさい」

「……す、すみません…………お願いします……せ……洗面器を……使わせてください………………」

 結衣香は屈するしかなかった。
 もし仮に、ここで洗面器を突き返せば、自分はもとより、残りの2人をも窮地に追いやることになる。

「……わかりました。
 そこまで言うなら、洗面器を貸してあげます。
 ただし、わがままを言った見返りとして、条件があります。
 その洗面器は、理科室の真ん中の実験台の上に置いた状態で使うこと。
 教室の端で使ったり、床に置いて使ってはいけません。
 これは、あなたたちがきちんと洗面器を正しく使ったかどうか、監視カメラで確認するための処置です。
 もし、この約束を破ったら、洗面器の中に出したものを3人で仲良く飲み干してもらいますからね」

「………………はい……………………」

 もはや、結衣香たちに拒否する術は残っていなかった。

   ・
   ・
   ・

 結衣香が、洗面器を教室の真ん中の理科室専用の大机――実験台の上に乗せる。
 理科実験台は6人がけ用の大きな机となっているため、洗面器を乗せ、さらにその洗面器を跨いで人が乗ったとしても、十分な広さがある。
 しかし、それは結衣香たちにとって、何の助けにも慰めにもならなかった。
 先ほど女性教師が言っていたように、この実験台の上は、監視カメラに映るための舞台なのである。
 それはつまり、実験台の上で、この洗面器に跨って用を足す姿を、カメラに映され、そしてその姿を大勢の目に晒すことにほかならない。
 この学園に2年以上も在籍している少女たちにとって、その映像が教師の間だけにとどめられる……などという可能性がゼロであることは、言われずともわかりきったことであった。
 間違いなく、この理科室の中で行われる惨めな排泄行為は、クラスの……いやもしかしたら全校の男子生徒の目にも留まることになるだろう。
 そんな異常な排泄シーンを男子に見られるなど、絶対に認める訳にはいかない。
 たとえ、学校でも寮でも、毎日トイレで排泄シーンを男子たちに見られているのだとしても……、トイレ以外でのこんな異常極まりない排泄姿を見られるなど、決して許されるものではないのである。
 しかし、その絶対に認められない、決して許されない姿が、男子たちの目に映ることになるとしても……、結衣香たち聖女学園の女子生徒に、それを拒む権利も手段もないのだった。

 もはや、3人の少女たちのお腹の鈍痛とそれに伴う強烈な便意は、我慢の限界を超えてしまっている。
 今、耐えていられる力の源は、3人の少女としてのプライドから生み出された羞恥心のみであった。
 決して逃れられない運命であるものの、それでも決心はそう簡単につくようなものではない。
 何しろ、今、少女たちのお腹の中で渦巻いているのは、いつもの固形便では決してない。
 それは、忌むべき濁流とも言える惨状の代物に違いなかった。
 そんなものをみんなの前で――あまつさえ男子が見ている前でひり出す覚悟と勇気など、そう簡単に奮い立つ訳がない。

 ……しばらくの静寂が理科室を包む。

 永遠に続くかと思われた静寂を破って、ゆっくりとひとりの少女が歩み出た。
 結衣香である。

「…………そ、それじゃぁ…………わ、私から………………やるわね……」

 このままでは3人とも取り返しのつかないことになってしまう。
 誰かが、先陣を切らなければ……その思いが、結衣香の足を前に踏み出させた。
 洗面器が乗せられた実験台の上に乗り上がり、そしてゆっくりと洗面器の両側に足をついて、しゃがみ込む。
 ちょうど、下ろしたお尻の下に洗面器がくる状態である。
 聖女学園の制服を身に着けている間は、少女たちは下着を身に着けることを禁じられている。
 したがって、そのまま腰を下ろせば、スカートの下は何にも覆われることのない少女の秘部が露になる。
 また、勢いで飛び散ったものがスカートにつかないように、ミニスカートの裾をわずかに手で押さえる。
 そうすると、結衣香のお尻がスカートの裾から露になって、今まさに濁流を食い止めている結衣香の肛門が剥き出しになった。
 これで、排泄のための準備がすべて整った。
 ……しかし、それは同時に、どこかからこの実験台の上を撮影しているカメラに向けて、自分から乙女の秘部を晒してしまう行為にほかならなかった。
 結衣香の頬が薄紅色に染まる。
 普段、どれだけ凛々しく振る舞っていようとも、女の子の恥部を晒すことに対する恥ずかしさは、決してなくなることはない。
 それに、「生徒会長特権」を持っている結衣香は、この聖女学園の女子生徒の中では、恥部を晒す機会が比較的少ない方である。
 授業中や行事ごとで教師に命じられたときには、恥ずかしい姿を晒してしまうことを避けられないが、男子生徒から一方的に辱められることは、きわめて稀である。
 しかし、今、この置かれているこのような状況の中では、その結衣香にしても、羞恥の罠から逃れることは不可能だった。
 監視カメラは一体どこについているのか……。
 天井から映しているのであれば、結衣香の決定的な部分はほとんど捉えられていないだろう。
 しかし、この聖女学園に仕掛けられた監視カメラが、そんな慈悲深いものである訳もない。
 実際には、監視とは名ばかりの盗撮用カメラであることは疑いようもない。
 しかも、きょうのこの状況が仕組まれたものであるのならば、自分たちを辱めるための仕掛けが準備されていることだろう。
 きっと、今、自分の剥き出しのお尻は、ローアングルから狙われたカメラのレンズに捉えられているに違いない――結衣香は、そう考えていた。
 そして、その結衣香の推理は、その一部において正鵠を射ていた。
 後に結衣香が目にすることになった理科室での監視カメラ映像には、カモフラージュされて実験台の上に設置されたカメラから撮影されたと思しき、結衣香の肛門から性器までをアップで見上げる映像があった。
 しかし、設置されていたカメラはそれだけではなく、中央の実験台をあらゆる角度から撮影するカメラが10基以上も設置されていたのである。
 実験台の上でしゃがんだ少女の性器から顔の表情までを正面から写し出すカメラもあれば、後方からお尻と洗面器にフォーカスを合わせて少女たちのお尻からひり出される「モノ」を詳細に記録するカメラもあった。
 そんな淫猥な舞台の上で、結衣香は「用を足す」という女の子として最も秘すべき姿を、晒さなければならないのだった。

 羞恥に耐えながらも、洗面器の上にスカートをめくり上げ、しゃがみ込む体勢をとった結衣香。
 準備は整った。
 既にお腹の痛みと便意は、その限界を遥か昔に超えてしまって、いつ決壊してもおかしくない状態である。
 あとは、結衣香の決意だけ。
 しかし、即断即決を旨としている結衣香にしても、この決断は容易には下せなかった。
 クラスメイトがいる教室の真ん中で、実験台の上に乗って洗面器に跨りながら下した便を垂れ流す。
 それも、その姿がカメラに捉えられて、教師はおろか、幾多もの男子生徒にまで見られるのである。
 決して耐えられるものではない。
 眉間にしわを寄せ、不快な汗を滴らせながら、長い葛藤を続ける。
 ……そしてしばらくの逡巡の後、結衣香は心を決めた。

「…………お、お願い…………見ないで…………」

 傍らのクラスメイトに向かって、小さな声をかけた瞬間…………、

――ブバッ、ブヒャッ、ブリュリュリュリュリュゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!

 水っぽい大きな破裂音とともに、結衣香の放射状のしわに包まれた菊門が大きく口を開き、そして凛々しい結衣香の身体から出たものとは信じられないほどに凶悪で醜悪な下痢便が、濁流のように洗面器に叩きつけられた。

「あぁぁぁぁっっっっ……………………」

 思わず、結衣香の口から嘆きと羞恥の声が漏れてしまう。
 いかに、普段強気で凛とした姿で振る舞っていようとも、いまだ14歳の少女なのである。
 年齢より大人びた雰囲気をまとっているとはいえ、これほどの恥辱に平然としていられる訳もない。
 何しろ、クラスメイトの目の前で、机の上に乗って洗面器の上に、とても正視できないような水分過多の下痢便を噴き出したのだから。
 それは、決して人に見られてはいけない――そもそも女の子である自分がそんな汚らしいものを出してしまったなどという事実そのものをなくしてしまいたい……と思うほどの姿なのである。
 結衣香は、羞恥と恥辱の極みに立たされたのだった。

 しかし、結衣香の受難はそう簡単には終わらなかった。
 一体、小さな体のどこにこれだけのものが入っていたのかと思うほどに大量の液便と軟便が、次から次へと肛門から噴き出しており、なかなか止まろうとしないのである。
 結衣香が、羞恥の下痢便地獄から逃れたのは、ゆうに1分以上も経過してからのことであった。

 もはや体力の限界を感じるほどにまで憔悴した結衣香は、実験台の上に置いてある実験用ティッシュを見つけると、のろのろとしたしぐさで自分のお尻と、そして太もものあたりまで飛び散った便飛沫を拭って、そのティッシュを洗面器の中に捨てて、実験台の上から下りた。
 洗面器の中には、たった今結衣香のお尻から出た、見るもおぞましい茶褐色の液体と、ところどころ浮かんでいる軟ペーストの塊が混じり合って、異臭を放っている。
 結衣香は、その陰惨な光景から目をそむけ、うつむくしかできなかった。
 しかし、目をそらす直前、わずかに網膜に残った残像を思い返し、改めて洗面器を目にせざるを得なかった。

(…………も、もうあんなにいっぱいに…………)

 結衣香の目に映った洗面器は、たったひとり分の糞便を受け止めただけで、すでにその容積の半分以上を占めているのだった。
 とっさに、結衣香は扉に向かって声を上げた。

「先生っ! 洗面器をもうひとつ……いえ、もうふたつ、貸してください!!」

 しかし、その言葉に返ってきたのは、無情な言葉だった。

「だめよ、結衣香さん。
 あなたたちに貸せる洗面器は、ひとつだけです。
 だいたい、洗面器を貸してあげること自体が、大変なサービスなんですからね。
 追加の洗面器なんて渡せません。
 3人で仲良く、ひとつの洗面器を使いなさい。
 いいですか、オシッコもウンチも、その洗面器以外のところでしてはいけませんからね。
 おおかた、結衣香さんが恥知らずにも大量のウンチをひり出して、洗面器をいっぱいにしてしまったんでしょう。
 恥ずかしげもなく、大量のウンチを出すなんて、淑女としての慎み深さが足りないわね。
 いいですか、あしたの朝まで、その洗面器ひとつで用を足しなさい。
 それから、出したものを勝手にどこかに捨てたりしてはいけませんよ。
 排泄物はきちんとトイレに流さないとダメですからね。
 出したものは、あしたまでそのままにしておくように。
 いいわね!」

「……そ、そんな………………」

 結衣香の悲痛な言葉にもかかわらず、それっきり女性教師からの言葉はなかった。

 ふと、振り向くと既に真帆が悲痛な面持ちで実験台の上に乗り、結衣香が垂れ流した糞便を入れた洗面器に跨っている。
 真白く小さなお尻が、洗面器の上で露になり、ほとんど色素が見られない真帆の肛門が引くついているのが見えた。
 もう、限界を超えて切迫した状況にまで差し迫っているいるのだ。
 結衣香が、クラスメイトの恥態を見ないように、目をそらした瞬間、結衣香のときと同じような水っぽい破裂音と真帆の悲鳴が、理科室に響き渡った。

 真帆が、崩れるように実験台の上から下りたとき、結衣香が目にしたのは、もはや洗面器の器いっぱいにまで注ぎ込まれた、ふたり分の下痢軟便であった。
 まだ辛うじてあふれてはいないようだが、ただそれだけだった。
 そんな、なみなみと糞便が注ぎ込まれた洗面器を目にした亜美は、顔を青くしながらお腹を抱えて震えていた。
 この洗面器にあとひとり分の糞便を受け止めるだけのキャパシティがないことは、誰の目にも明らかである。
 結衣香が、再び洗面器の追加を要求しても、もはや女性教師からの返事すら返ってこなかった。

 3人の少女たちが教師から定められた条件は4つ。
 もはや、どうすることもできなかった。
 やむなく、亜美は実験台の上に登って、今や容器の縁ギリギリまで、ふたり分の汚濁を溜めた洗面器に跨った。
 既に一刻の猶予も残されていないことは、亜美の表情、そして全身の震えが物語っている。
 亜美は、洗面器の上に腰を下ろした瞬間、前の2人以上の大きな噴出音とともに、荒れ狂う濁流を洗面器に叩きつけたのだった。
 次から次へと亜美の肛門からあふれ出てくる褐色の濁流と、水分をたっぷりと含んだ軟固形便は、もはや洗面器の中にとどまることを許されず、亜美の足元から実験台の机上いっぱいに広がっていった。
 結衣香も真帆も、その現実感の乏しい惨状から目をそらすことすら忘れて、汚濁が広がる様子を見つめていた。
 一体どれほどの時間が経過しただろうか……誰ひとり正常な時間感覚を持てず、1分だったか5分だったかすら定かではない。
 それだけの時間が過ぎたところで、ようやく、亜美のお尻から流れ出る軟便が途切れたのだった。

 亜美は、実験台の上でしゃがみながら声を上げて泣いてしまっていた。
 それも無理のないことだろう。
 下痢便をひり出す姿を見られるだけでも死ぬほど恥ずかしいのに、その上、足元から実験台の上一帯に、その汚物をまき散らしてしまったのだから。
 結衣香と真帆は、しばらく呆然とした後、ハッとして亜美に駆け寄り、手を汚しながらも亜美を実験台の上から下ろす手助けをした。
 亜美は、汚れた上靴と靴下を脱いで素足になって、真帆の助けを借りながらお尻をティッシュで拭いた。
 それから、3人とも理科室に備え付けてある水道で手を洗おうとしたが、どういう訳か蛇口から水が出てこない。
 水道の元栓が閉められているようだった。
 手についた汚れすらも洗い流すことができない状況に追いやられた少女たちは、ティッシュを使って、わずかばかり汚れを拭うことしかできなかった。
 それでも、なんとかようやく一息つくことができたところで、ようやく、亜美の涙も少し落ち着きを見せていた。

 それから、3人の少女は理科室の隅に身を寄せ、しばらく時間をかけて気を取り戻したところで、相談を始めた。
 相談の内容は、「汚物で汚れた実験台をどうするか」ということだったが、条件として「排泄物を勝手に捨ててはいけない」と言われているため、どうすることもできはしなかった。
 仮に、掃除をして洗い流してしまおうとしたところで、水道すら止められているこの状況ではそれもできないのだから、どちらにせよ打つ手はないのである。
 せめて、実験台の上からこぼれ落ちてしまわないように……ということで、掃除用具入れに入っていた雑巾を実験台上の縁に沿って土手のように並べ、防波堤を築くのが精一杯だった。
 これで、かろうじて汚物流出の被害を食い止めることができたが、理科室に充満する異臭は、どうしようもなかった。
 窓を開けようとしたが、窓枠についている鍵を開けても窓が開かない。
 どうやら、何か別の方法で窓が施錠されているようだった。
 結衣香は、食事や洗面器を出し入れしていた床面近くの小窓に手をかけてみたが、こちらも外から鍵がかけられているようで開かなくされてしまっていた。
 結衣香、真帆、亜美の3人は、3人分の下痢便軟便を教室の真ん中にまき散らかした状態で、換気すらできない教室の中、明日の朝まで過ごさなければならないという状況に身を置かざるを得なくなったのである。
 3人は、少しでも臭いのもとから離れようと理科室の隅に身を寄せ、座り込んで時が過ぎるのを待つのだった。


 しかし、3人の少女に訪れた、まやかしの安息の時間は、1時間も続かなかった。
 さっき、あれほどの糞便を出したというのに、再びお腹に鈍い違和感が生まれたのである。
 しかも、違和感を覚えたかと思うと、瞬く間に、またしても耐え難いほどの便意が襲い掛かってきた。
 しばらく無謀な我慢の時間を過ごしたが、それも長くは続かず、3人は再び洗面器の上に跨ることとなった。
 もはや、実験台の上は洗面器からあふれ出た下痢便で汚れてしまっているため、3人とも靴と靴下を脱いで、裸足で実験台の上に乗り、糞汁に足を浸し、軟便を踏みつける心地悪い感触に涙しながら、洗面器の上に汚辱を吐き出すしかなかった。
 少女たちのお尻の穴から出てきた汚物は、中身がいっぱいになった洗面器の中には注ぎ込まれず、そのまま実験台の上へとあふれ漂っていく。
 もはや、実験台の上に直接排便しているのとほとんど変わりないような状態だった。
 しかし、女性教師から、「洗面器の中に用を足すこと」を義務づけられてしまっている少女たちは、無駄なことと知りながらも、洗面器に向かって排泄し続けるしかない。
 この無様でみっともなく、そして汚らしい姿が、多くの男子生徒たちの目に晒されているということを知りながらも……。

   ・
   ・
   ・

 結局、翌日の朝までに、結衣香が5回、真帆が4回、亜美が7回の排便を繰り返し、少女たちは、悪臭と便意でほとんど眠れぬ夜を過ごすことになった。
 結衣香が深夜に3回目の脱糞をしたとき、実験台の机上の周りを囲っていた雑巾の防波堤が決壊し、床まで軟便が流れ落ちてしまった。
 朝方近くになって、亜美が6回目の排泄をするころには、理科室の床の4分の1ほどが、茶褐色の汁に染まっていた。
 早朝、6時ごろに廊下側の小窓がわずかに開き、そこからおにぎりの差し入れがなされたが、指先までもウンチまみれになって汚れている3人の少女たちは、それを手にすることすらしなかった。
 いや、たとえ手が汚れていなかったとしても、食事への警戒と、そして教室に充満する排泄物の悪臭の中で食欲が湧く訳もなく、ひと口も口にしなかったであろう。


 ……そして、朝8時……


 ――カチャン――

 軽快な金属音とともに理科室の扉の鍵が開錠され、扉が開け放たれたのだった。
 一体どこが故障していたのか……そんな疑念すら挟めぬほどに、滑らかな開錠の音であった。

 17時間もの間、少女たちを閉じ込めていた扉が開いた先には、結衣香たち3年生を担任している女性教師の姿があった。
   そして、扉を開けた女性教師が目にしたものは、洗面器の乗った実験台の上一面が糞便であふれ、床の至るところが茶色く汚れ、そして足元やスカート、セー ラー服の裾をウンチ色に染め上げながら、理科室の隅で座り込んでいる結衣香、真帆、亜美の、3人の女子生徒の姿だった。

 何度も何度も、糞便にまみれた実験台の上に乗って用を足していった少女たちは、もはや手足にウンチをつけずに用を足すこともできず、スカートの至るとこ ろに下痢便の汁をつけてしまうことも避けられなかった。
 そしてその汚辱の余波は、セーラー服の裾にまで及んでしまっていたのである。
 このような状況で、満足な睡眠などとれるはずもなく、結衣香も真帆も亜美も、皆、脱力したように床に座り込んでいた。
 さすがに、普段から気の強さを見せる結衣香にしても、この一晩じゅう繰り返された下痢便垂れ流しと、17時間におよんだ悪臭漂う密閉空間での監禁生活は堪えたようで、理科室の中に入ってきた女性教師を一瞥しただけで、口を開こうとはしなかった。
 真帆も、手足、そして制服を排泄物で汚した格好のまま床にペタンと座り込んで、うつむいている。
 最も多くの回数排泄してしまった亜美に至っては、完全に力尽きてしまったようで、壁に寄りかかりながら眠ってしまっていた。
 何度も汚物まみれの実験台を上り下りして洗面器に跨ってきたせいだろう、亜美の身体と制服の汚れは他のふたりよりひどく、スカートもセーラー服も、元の色がわからないほどになっていた。
 全身を汚物で汚した亜美は、ふたりに気を遣ってか、少し離れたところにいたようだが、これだけ異臭が充満した部屋の中では、実質的な意味はなかっただろう。
 

「うわっ……くっさいわね…………。
 あなたたち、この有様は一体どういうことなのかしら?
 せっかく、洗面器を貸してあげたっていうのに、ほとんどのウンチが洗面器からあふれて、実験台も床もドロドロじゃない。
 それに、あなた方の手も足も、制服までもウンチまみれになってしまって……。
 たった一晩、理科室に泊まっただけだというのに、これはひどいわね。
 一晩くらいトイレを我慢できなかったのかしら?
 仮に、我慢できなかったとしても、ここまでひどい状態にしなくてもいいでしょうに。

 あなたたちの昨晩の様子は、監視カメラの映像で見ていましたが、本当に落ち着きがなくて、みっともなくて、そして汚らしかったわね……。
 何度も何度も、ウンチまみれになりながら、実験台の上の洗面器に跨って排便する姿を晒すなんて、とてもおしとやかな女の子が見せる姿とは信じられなかったわよ。
 人前であんなみっともない格好をして、しかもウンチを大量にブリブリと……。
 あなた方、中学3年生の女の子として、恥ずかしくはないのかしら?
 これが、聖女学園最上級生の姿なんて、信じられないわね。
 本当に、みっともないったらありはしないわ。


 ほらっ、もう8時過ぎよ、始業時間が近いからそのまま教室に行きなさい。
 ……えっ、寮に戻って身体を洗って制服を着替えたい……ですって?
 結衣香さん、何をバカなことを言っているの?
 もう始業時間が近いって言ったでしょう!
 寮に戻って、着替えてくる時間なんてある訳がないじゃない。
 制服がウンチまみれになったのは、体調管理もまともにできず、そしてきれいに用を足すこともできなかったあなたたちの自己責任です。
 小学生だってひとりで汚さずに用を足せるというのに、中学生のあなたたちと言ったら……。
 反省して、きょう一日、そのウンチまみれの制服で過ごしなさい。

 ……そう言えば結衣香さん、あなた1年生のときに家庭科の授業で受けた『浣腸カレーライス』のときにも、今みたいにウンチまみれになっていましたね。
 あのころから口答えばかりして生意気だったあなたは、家庭科の授業の後も身体を洗うことを禁じられて、そのまま一日じゅうウンチまみれになりながら授業を受けていたのよね。
 今のあなたの姿を見ていたら、あのころのことを思い出したわ。
 まぁ、今の格好なら、あのときより少しはましなんじゃない?
 あのときは、顔はおろか髪の毛にまでウンチが実ごとこべりついていたんですものね……フフフ。
 それにしても……、あれから2年もたっているっていうのに、またみっともなくウンチまみれになってしまって……。
 本当に、成長がないわね……あなたも。

 ……それにしても、結衣香さん……あなた、改めて見ると、亜美さんほどじゃないにしても、とんでもない汚れ方ね。
 スカートなんか、もうどこもかしこもウンチの染みがついているし、セーラー服やスカーフまで、汚れが広がっているじゃない。
 それに、手足はもうティッシュで拭ったぐらいじゃ色が取れないぐらい、茶色く染まってしまって……。
 あらやだ……、あなた、首筋や顔にまでウンチの跡がついているわよ。
 そう言えば、あなた、きのうの夜は5回も排泄したんでしたっけね。
 そのたびに、あのウンチまみれになった実験台の上に乗って、汚物が溢れかえった洗面器に跨って……。
 監視カメラの映像で見たわよ。
 台に上ったり下りたりするたびに手足をウンチまみれにしてしまうし、しゃがめばスカートをウンチ汁につけてしまうし……、あなた、聖女学園の最上級生……それも生徒会長として、全校生徒の見本にならなければならないという立場なのに、その自覚がないの?
 聖女学園の生徒会長なら、もっとスマートに、服も身体も汚さずに、きれいに用を足すことができなかったのかしら?
 用を足すたびに、手や服を汚すなんて、まるで幼稚園児ね。
 まぁ、何度も排便を繰り返した亜美さんは、そんなあなたに身体を支えてもらったりしていたみたいですけど、それにしたって、もう少し気をつけてやれば、お互いそんなに汚れなかったでしょうに。
 ……まぁ、こんなにウンチの染みで汚れた制服を着て、手も脚も顔も身体も汚物の跡をつけた格好なんてしていたら、身体を洗って、新しい制服に着替えたいという気持ちも、わからないでもないですけどね。

 …………でも、ダメよ。
 さっきも言ったように、あなた方が制服や身体を汚したのは、あくまでも自業自得。
 今から寮に戻ったところで、遅刻するのは目に見えているわ。
 そんな状況で、あなたたちを寮に帰すことなんて許しません。
 それに着替えると言ったって、あなた方は制服を1着しか持っていないでしょう。
 今から制服を洗ったりなんかしたら、それこそきょうは、もう制服を着られなくなってしまうじゃない。
 制服がないからと言って、体操服や私服で登校して授業を受けるなんてみっともないまね、絶対に認めませんからね。
 あなたたちは、きょう一日、その汚らわしい跡が染みついたウンチ制服を着て授業を受けること。
 いいわね。
 それから、あなた方が学校のシャワールームを使うことも禁止します。
 そんな手足で歩き回られて学校を汚されても困りますから、手洗い場で手と足を洗うことは許可しますが、シャワールームで身体を洗うことは認めません。
 これは、勝手に制服をウンチまみれにして汚した、あなたたちへの罰です。
 それに、どうせ身体を洗ったところで、その汚物まみれの制服を身につけたら、また汚れてしまうんですからね。
 ですから、手洗い場で洗うことができるのも、手首から先と足首から下のみに限ります。
 そのほかの身体についた汚れは、そのままでいなさい。
 あなた方は、きょう一日、そのみっともない格好で過ごすのよ。

 ……それにしても、結衣香さん、あなたのその姿を見ていたら、本当に2年前の家庭科の時間を思い出すわ。
 2年もたって、またおんなじ格好をするなんて、あなた、もしかして本当はウンチ好きの変態スカトロマニアなんじゃない?


 ……ふぅ、それにしても…………理科室をこんなに汚してしまって……ちょっとやそっとじゃ片付きそうにないわね。
 まったく……あなたたちにはきのう、理科室の後片付けをしてもらうために残ってもらったというのに、逆にこんなに散らかして、汚して、臭くしてしまって……。
 一体どういうつもりなのかしら?
 理科室の中をこんなにも汚してしまったのだから、いくら鍵がかかっていて出られなかったと言っても、何のお咎めもなしという訳にはいかないわよ。
 相応の罰を受けてもらう必要があるわね……。

 ……なぁに、結衣香さん? 不満でもあるというのかしら?
 あなた、まさか理科室をこんな状態にして、何もなしで許されるとでも思っているの?
 鍵がかかって外に出られなかったからって、こんなふうに理科室をあなた方の汚物まみれにする必要なんてなかったでしょう。
 それとも、あなた方は寝床をウンチでマーキングする癖があるとでも言うのかしら?

 ……えっ、きのうの夕食に何か混ぜられていた……ですって?
 言うに事欠いて、あなたたちのことを心配して食事を用意してあげた先生に罪をなすりつけようだなんて、どういうつもりなのかしら?
 生徒会長だからって、教師に対してそんな口のきき方が許されるとでも思っているの?
 それに、きのうの食事に問題があったなんて、どこにそんな証拠があるのかしら?
 まさか、証拠もなしに先生に疑いをかけたのではありませんよね?
 あなた方が、きのう一晩じゅう下痢をもよおして排泄を繰り返したのは、あなた方の体調管理が悪かったせいでしょう。

 ……3人一緒にお腹を壊すことなんかあり得ない……なんてって言ったところで、実際に起こったのですから、偶然の出来事というしかないわね。
 それを、他人のせいにして罪を逃れようだなんて……、あなた、そんなことして許されると思っているの?

 そうねぇ……、結衣香さん、せっかくですから、あなたに代表して理科室を汚してしまった罰を受けてもらうことにしましょう。
 生徒会長だからと言って、きのうあれだけ先生にたてついて、わがままばかり言った上に、今も先生に口答えしてあらぬ疑いまでかけたのですから、その償いはきちんと取ってもらわないといけないわ。
 三条院結衣香さん、あなたに、理科室を汚物で汚した罰を受けてもらいます。

 罰は……そうねぇ……、きょうの1時間目は私の授業だったから、その時間を使って行うことにしましょう。
 あなたには、きょうの1時間目の私の授業の最中に、30分間の長時間発表をしてもらいます。
 授業中、切りのいいところであなたを指名しますから、指名されたらあなたは起立して、私の指示に従って発表しなさい。
 あなたの発表時間は30分。
 授業時間の半分以上を割いてあげますから、しっかり発表するのよ。
 ただし、あなたには授業が始まる前に、この即効性の下剤を飲んでもらった上で、授業に参加してもらうわ。
 その状態で、30分発表して周りの男子にたっぷり指導してもらいながら、下剤でもよおされた便意を我慢して、何事もなく発表を終えること。
 発表中の脱糞はもちろん、授業が終わるまでに漏らしてもダメですからね。
 もちろん、発表中に男子の指導の邪魔をしたり、抵抗したりすることは絶対に認めませんよ。
 特に、今回は罰の一環で発表をしてもらうんですから、発表中の男子の指導に対して、非協力的な態度で臨むことも許しません。
 発表中は、椅子を跨いだ格好で立って、最低でも両膝を50センチは開いて、男子があなたの股間を自由に指導できるようにすること。
 もちろん、男子からの要求があれば、割れ目を開いたり、お尻を突き出したりすることにも、積極的に協力するように。
 少しでも男子の指導を邪魔するような行為をしたり、あなたが股を閉じたり腰を捩ったりなどといった非協力的な行動をとったという申告が男子から挙がった場合には、その場でイチジク浣腸を肛門に注入してあげますからね。
 下剤と浣腸の二重便意に耐えられるかしら?
 授業中にウンチを漏らしたくなかったら、発表中は男子の指導に積極的に協力する態度をとっていなさい。

 ……どうかしら、このペナルティは?
 この理科室の有様を見るに、どうやらあなたたちはお尻の穴の締まりが緩いみたいですからね。
 このペナルティを通して、少しお尻の穴を締める訓練してあげるわ。
 もし、1時間我慢できなかった場合には、残りのふたり――真帆さんと亜美さんもいっしょに、2時間目にまた同じ罰を受けてもらいますね。
 ふたりに罰を受けさせたくなかったら、1時間、下剤でもよおされる便意に耐えて見せなさい。
 そのぐらいできないようでは、この学園の生徒会長は務まらないわよ。

 そうそう、朝のホームルームの時間に、1時間目の授業前に結衣香さんが下剤を飲んでから授業に臨むことと、授業中に30分の長時間発表の時間を設けることを、あらかじめクラスの男子に説明しておいてあげるわ。
 そしてあなたには、私の説明が嘘ではないことを証明するために、そのホームルーム中に、みんなの前でこの下剤を飲み干してもらいます。
 私の説明を聞いた上で、下剤を飲み干したあなたの姿を見たら、普段、『生徒会長特権』のせいであなたと十分にスキンシップの取れていないと思っている男子のみんなも、きっと熱心に指導してくれると思いますよ。
 そのウンチまみれの制服を、さらに汚してしまわないように、しっかりお尻の穴を締めて授業に臨むことね。

 ……と言っても、この理科室の惨状を見れば、あなたがこの下剤に耐えられとは、とても思えませんけど……。
 なんと言っても、その下剤は、一度飲んだらその持続力は十時間にもおよび、襲いくる便意も一度ならず効果が切れるまで何度でも押し寄せてきて、そしてひとたび便意を覚えたら絶対に我慢することはできない……という特製の下剤ですからね。
 そう言えば、きのうは夕食を終えてから、30分ぐらいしてからお腹が痛くなったんでしたっけ?
 きょうは、1時間もつといいわね……フフフ。

 ……あらっ、どうしたの? 結衣香さん、そんなに怖い目でにらんで……。
 えっ……、私は、この下剤の効果を口にしただけですよ。
 あなたたちの、きのうの様子と似ているなんて思うのは、被害妄想というものよ。
 単なる偶然の一致じゃない? フフッ♪

 なぁに、まだ先生にあらぬ疑いをかけようっていうのかしら?
 まったく……どうしてそんなにひねくれた考えをしてしまうのかしらね。
 そんなことだから、男子たちとうまく打ち解けられないでいるのよ。
 ……そう言えば、結衣香さん……あなたあまり男子のみんなと仲良くしている様子がないという評判よ。
 ときどき先生のところにも、男子から相談が来るぐらいなんですから。
 もしかしたら、普段、『生徒会長特権』ばかり使っているせいで、最近、男子生徒とのスキンシップが足りないのではなくて?
 たまには、しっかり男子とスキンシップを取っておくことも、聖女学園の女子生徒として必要なことよ。


 ……うーん……そうだわっ!
 どうせなら、きょう一日あなたの『生徒会長特権』を無効にしてみましょうよ。
 そうすれば、男子のみんなも、気兼ねなくあなたとスキンシップを取ることができるわ。
 特権無効の理由は……そうねぇ……、『理科室を不法に占拠してウンチまみれにした犯行グループの一員に生徒会長がかかわっていた疑い』に関する責任問題……ということでどうかしら?
 犯行の証拠映像なら、きのうの監視カメラの映像が使えるから、立件も簡単だわ。
 生徒会長たるあなたが、夜中に理科室の中でウンチを垂れ流している様子が、バッチリ映っているんですから、これ以上の証拠はないわ。
 そもそも、下校時間を過ぎた夜中の学校に、生徒が居残っているということ自体が問題として追及されることになるわね。
 おまけに、今まさに理科室の中にいたあなた方は、身体も制服もウンチで汚れた状態ですから、この理科室の惨状と照らし合わせれば、間違いなく現行犯として認定されるわ。

 大丈夫よ、事件の状況捜査が始まって被疑者として取り調べを受ければ、『理科室の鍵が壊れたせいで理科室から出られなかった』って証言できるでしょうし、その証言が認められれば、『理科室を不法占拠した』っていう、あなたの容疑は晴れることになるでしょうから。
 多分、早ければあなたの取り調べは、きょうの放課後ぐらいから始まると思うわ。
 順調にいけば、容疑が晴れるのは、恐らくあしたの朝から昼ぐらいかしらね。
 もし、そのときにまだあなたの容疑が晴れていないようだったら、私が『理科室の鍵が壊れてあなた方が理科室に閉じ込められていた』っていうことを証言してあげるわ。
 私の証言があれば、あさってには容疑が晴れて、無罪判定がなされるはずよ。
 あぁ……でも、もし仮に私の証言をもってしても無罪判定が出なかったら、ごめんなさいね。
 そのときは、諦めてちょうだい。
 まぁ、仮に有罪になったとしても、せいぜい厳重注意の上、『放課後の玄関前で割れ目露出の刑』ぐらいですむと思いますから、あまり心配しなくてもいいわ。
 ……あ、でも、生徒会長が有罪っていうことになるんだったら、もう少し重い罰が下される可能性もあるわね。
 生徒会長が、犯行に加担したことを重く受け止められれば、『全校集会での反省宣言』と『全校集会での全裸オナニーの刑』ぐらいに発展するかもしれないわ。
 まぁ、どんな判定が下るかは、あなたの取り調べの結果次第ね。
 無罪を勝ち取れるように、せいぜい頑張りなさい。

 そして、有罪になるにせよ無罪になるにせよ、どちらにしても生徒会長が現行犯で捕まった以上は、その容疑が晴れるまでの間、緊急の暫定処置として、『生徒会長特権』の一時停止処分が下ることになるわ。
 そうすれば、その時点からあなたは『生徒会長特権』を喪失して、容疑が晴れるまでの間、『生徒会長』ではなく『違反容疑者』として扱われることになるわね。
 まぁ、『違反容疑者』に認定されれば、ちょっとだけ一般生徒よりも行動に制約を受けることになりますけど、それほど大したことではないわ。
 ――容疑者が逃走や違反の証拠隠滅なんかをしないように、容疑者を常に男子生徒の監視下に置く臨時体制がとられることになって、男子生徒には捜査協力の一環として、いつでもどこでも容疑者の女子生徒に身体検査の実施を命じる権利が付与される――
 ……容疑者が受ける行動の制約といったって、それぐらいのものよ。
 もちろん、容疑者にはその身体検査に協力する義務が課せられていて、身体検査を命じられた容疑者は、いついかなる場所、どんな状況であろうとも、その身体検査への協力を最優先事項として遂行する義務を負う……というのは、あなたも知っているわよね。
 聖女学園の女子身体検査は、全裸が基本ですから、身体検査を要求されたら、そのときのすべてを差し置いてその場で裸になること……それを守っていればいいのよ。
 検査の仕方は、男子に一任されるけど、要は容疑者に対しては、生徒手帳検査の検査権みたいなものが無条件で全校の男子に認められる……ということと考えればいいわね。
 そう考えれば、普段の女子生徒が負っている義務と大差ないんですから、それほど違和感もないでしょう。
 それに、今回の『生徒会長特権の一時停止』は、男子とのスキンシップを深めるための一環として位置づけて実施する訳だから、この『違反容疑者としての身体検査協力義務』は、その助けになりこそすれ、妨げにはならないわ。
 だって、身体検査を受ければ、より深く男子とスキンシップを取ることができるでしょう。
 あなたも、たまには生徒会長の重責から解放されてみるのもいいんじゃない?

 ……それじゃあ、この件はさっそく朝の職員会議にかけてみるわね。
 朝のホームルームまでには、暫定処分の審議結果が出て、『生徒会長特権の一時停止』が決定されていると思うから、そのときに審議結果とあなたへの処分を伝えてあげるわ。
 制服をウンチまみれにした上に、『生徒会長特権』が一時無効になって、おまけに『違反容疑者』としていつでも身体検査ができる……なんてことを男子たち が知ったら、きっと結衣香さん、きょう一日、大人気で、男子のみんなが積極的にスキンシップを取りに来てくれること間違いなしよ。
 この機会に、改めて男子とのスキンシップの大切さを勉強するのもいいことだと思うわ。


 さて、それじゃあ早速、職員会議に提出する資料をまとめるとしましょうか。
 まずは、証拠としてこの理科室の状況の写真と……、あぁ、あなた方のウンチまみれの写真もあった方がいいわね。
 現行犯で発見したことを示す決定的な証拠になるわ。
 あとは、きのうの監視カメラの映像を編集して……結構やることがあるわね。
 まぁ、結衣香さんのためですもの、頑張りますか。

 ……あ……そう言えば、教師に現行犯と見なされた女子生徒が、審議の結果無罪になった例はまだ1件もないって聞いたことがあるわね……。
 まぁ、それなら結衣香さんが、無罪第1号になればいいだけのことだわ。
 正直にそして誠意をもって供述すれば、きっと大丈夫よ。
 確かに有罪になる可能性もあるけど、でも、これは結衣香さんの男子とのスキンシップ学習のために必要な処置なんですから。
 それぐらいのリスクは覚悟しないとダメよね。


 さっ……、それじゃあ、職員会議の方は先生に任せて、あなたは、1時間目の発表頑張るのよ。
 もちろん、発表の内容も手を抜いたりなんかしたら、許しませんからね。
 いつもみたいな、凛として、よどみなく流れるような発表、期待しているわよ。


 いいわね?」


 女性教師の問いかけに、聖女学園の女子生徒である結衣香ができる返事は、「はい」以外にはあり得ない。
 それがいかに理不尽なものであり、いかなる試練がこの身に降りかかろうとも……。
 そして、それによりどのような屈辱を味わうことになるか明らかなのだとしても…………。


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