発表の時間



 私たちのクラスには、ある一つのルールがあります。
 そしてそのルールに従って、毎日、とてもいやらしいことが起きるのです。
 今日もまた、こんなことが起きました。

 お昼休み、クラスメイトの明日野一花(あすの・いつか)という女生徒が、唐突に席を立って、教壇まで歩いて行きました。
 まるで飛び級学生のように小柄な体を持つ彼女は、明るくてとても素直な性格で、みんなから一花ちゃんと呼ばれて親しまれています。
 しかしそのときの一花ちゃんの顔にはいつもの笑顔はなく、きらきらと輝いているはずの瞳は、どこかうつろに前だけを見ていました。
 そんな彼女の様子を見て、クラスの全員が悟りました。
 今日の生贄は一花ちゃんなのだ、と。
 それを変えることはできません。
 この場にいる誰一人、『それを防ぐために動く権利を与えられていない』のです。
 だから、もし今から起こることを防ごうと考え、それがたとえば一枚のメモを残すことだとするならば――私たちはその瞬間から、鉛筆一本持つこともできなくなってしまうのです。

『何人たりとも、発表の時間を侵すことはできない』――それが、この教室のルール。

 さっきまで和やかな声が満ちていた教室に、熱を持った沈黙が下りました。
 ルールには逆らえないという諦めと、無垢な一花ちゃんを助けられないもどかしさと罪悪感、そして、これから起こることへの、隠しきれない期待が。
 私は、内心で激しく動揺していました。
 一花ちゃんが『発表』をさせられるのは、私の記憶が正しければこの『発表』が始まって以来、初めてのことです。
 純粋な一花ちゃんが生贄になることが、私には許せませんでした。
 彼女は良い意味で、とても幼い子なのです。
 いつも笑顔で、クラスの雰囲気をよくしてくれる一花ちゃん。
 クラスの誰かの『発表』の時には、彼女はいつも顔を真っ赤にして恥ずかしそうに、申し訳なさそうに瞳を潤ませていました。
 そう、私たちには他の誰かの『発表』から『顔を背ける権利』すら与えられていません。
 それがどれほど正視に堪えない卑猥な光景であっても、見ないということは許されないのです。
 一花ちゃんが、そんな残酷な『発表』をしなくてはならないというのは、私には堪え難いことでした。
 どんなときも無条件の好意に満ちている彼女の笑顔は、同性の私でさえ惹きつけられるような魅力に溢れています。
 そんな一花ちゃんが、今からクラス全員の前で汚される……そう思っただけで、私は胸が引き裂かれるような気持ちに襲われました。
 一花ちゃんはよどみない動作で教壇を上り、黒板の真ん中まで移動すると、ピンク色のチョークで(この色は一花ちゃんがいつも好んで使う色です)自分の『発表』のタイトルを書き始めました。
 意外なほど達筆な文字で記された題名は、『昨日の私のオナニーについて』。
 全てを書き終えた彼女はくるりと反転し、私たちと向き合いました。表情はあいかわらずうつろです。
 しかし、

ぱんっ

 と、教室のどこかで手拍子のような音がしたかと思うと、不意に一花ちゃんの瞳に光が戻りました。
 我に返った彼女は、今しがた自分が黒板に書いたことを思い出したのか、顔を真っ赤に染めて――しかし身じろぎひとつ許されずに、教壇の真ん中に直立したままです。
「今日はみんなに、昨日わたしがした、……ぉ…オナニー…に、ついて、発表したいと思い、ます。
 す……すこしでも、おたのしみいただけたら……さいわい、です」
 ルールによって、いやおうなしに発表内容を言わされる一花ちゃんの声は、羞恥に震えていました。
「そ、それでは、わたしの体を使って、昨日のわたしを再現したいと思います。
 時間は放課後4時半ごろ、部活動を終えた私は、誰もいない教室に戻ってきました……」
 言い終えた一花ちゃんの表情が、再び一変しました。
 意外にもそこにあったのは、いつもと同じ明るい表情。
 彼女はぴょんと教壇を降りると(そんな元気いっぱいの動作も、いつも通りの一花ちゃんです)、何かを確認するかのように教室をぐるりと見渡しました。
 過去の『発表』から推測するに、これは恐らく過去の喚起です。
 記憶の中にある自分の行動を、当時の気持ちのままで再現させられているのです。
 つまり、これは一花ちゃんが昨日やったこと……?
 一花ちゃんは慎重に、まるで教室に誰もいないことを確認するかのように――言うまでもありませんが昼休み中の教室にはクラスの全員がそろっていて、片時も目をそらさず彼女を見つめています――何度も見回してから、今度は視線を落として、何かを探すようにうろうろし始めました。
 彼女の視線はちょうど机の上あたりをさ迷っていて、自分の顔を見られているような気持ちになるのでしょう、教室中に動揺の気配が広がります。
 と、一花ちゃんと私の目が合いました。
 私は何もできず彼女を見ているだけの自分が恥ずかしくなって、思わず顔を伏せ――ようとしましたが、できません。
 『見ない』ことは禁じられています。
 幸いに、一花ちゃんはすぐに視線を逸らしてくれました。
 ……今の彼女には、私たちが見えていません。
 彼女が見ているのは恐らく、自分の記憶の中にある『誰もいない放課後の教室』なのです。
 目的のものを見つけたのか、一花ちゃんの足が止まりました。彼女は教室の真ん中あたりの、ある机の横に立って――その机の角に、自分の股間を押しつけます。
 その際に机の両辺に手をつき、ややつま先立ちにならなければ高さを合わせられないあたり、彼女がいかに小柄かを物語っていますが――しかし、これは……。
 予想通り、一花ちゃんはそのまま、性器を机の角に擦り付け始めました。
 まぶたを半分閉じ、陶酔しきったその表情は、彼女がここを無人の教室だと信じこんでいることを意味しています。
 この教室の私たちは今、壁の一枚も隔てることなく、少女のひそやかな秘め事を『盗み見ている』のです。
 ですが、机の角で服の上から性器を刺激する――という彼女のやり方に、私は場違いにも少々ほほえましい気持ちになりました。
 もっと直接的な方法だって知らないことはないだろうに、それを選んだというのが、なんだかすごく一花ちゃんらしいなあ……と、妙に感心してしまったのです。
 そんな私の胸中はさておき、驚いたのは机の持ち主、柊雫(ひいらぎ・しずく)さんです。
 雫さんは、自分の机に広げたかわいいお弁当のすぐ横に、自慰にふけるクラスメイトの股間があるという状況にただ呆然としていました。
 雫さんは大人しいひかえめな性格の女の子で、一花ちゃんと仲がよく、いつも一緒にいる親友です。
 一花ちゃんが彼女の机を選んだのは、偶然かもしれませんが――しかし、いつも一緒にいる友達の机を覚えていない、などということがあるでしょうか。
「……んっ、……ふぁ、はっ………」
 一花ちゃんの息遣いが強くなりました。
 腰の動きも激しくなり、終りが近いことがわかります。
 ぎゅっと目を閉じ、一心不乱に腰をくねらせる一花ちゃんの姿は、普段のあどけない彼女からは想像もできないほど淫らでした。
 教室のどこかから、一花ちゃんではない誰かの吐息が聞こえてきます。
 『発表』の邪魔さえしなければ、取る行動に制限はありません。
 痴態をながめながらお弁当の玉子焼きを口に放り込むのも、……発表者と淫らな行為を共有するのも、自由です。
 その誰かを責めることは、私にはできません。
 私もまた、普段見ることのない一花ちゃんの淫猥な姿に、どうしようもなく興奮を覚えてしまっていたからです。
 発表内容を言わされた時の、涙ぐむ一花ちゃんの表情を思い出さなければ、私は自分を抑えることはできなかったでしょう。
「っん、んん、ふぅ、…んあ、ぁ、あっあっ……」
 鼻声になった喘ぎが、次第にせっぱつまった響きを帯び始めました。
 腰の振りは小刻みに、さらに激しくなり、雫さんの机ががたがたと揺れます。
 私の席からでは、雫さんの表情はほんの少ししか見えませんが、それでもわかるくらい雫さんは真っ赤になって、涙目で一花ちゃんの顔を見つめていました。
「ひぁっ、あ、あっあっああっ! ………〜〜〜〜っ!!!」
 声にならない叫びをあげて、一花ちゃんは股間を角に強く押しつけます。
 机の角は、彼女の中に入っているのかと錯覚するほど深く股間に食い込み、きゃしゃな体が一瞬、びくんっ、と大きく震えました。誰の目にも、彼女が達したのは明らかだったでしょう。
 一花ちゃんはその後、しばらくの間そのままの姿勢で荒い息をついていました。
 まだ、小刻みに身体が痙攣しています。
 やがて落ち着いたのか、彼女が机から腰を離すと、愛液が糸を引きました。
 雫さんの机の角は、当然、一花ちゃんの愛液でべたべたです。
 一花ちゃんはポケットから取り出したハンカチで、机についた自分の汚れを丁寧に拭き取り始めました。
 奇麗に拭き終わると、一花ちゃんはまっすぐに教壇に戻って、再びクラスの全員と向き合いました。彼女の顔にはいつのまにか、現状を正しく認識した恥じらいが戻ってきています。
 大勢の前で自慰をして、達してしまったという事実――しかもそれは、自分が昨日したことの再現。
 二重三重の恥ずかしさが、自意識を取り戻した彼女を深く苛んでいることでしょう。
「い、以上が、昨日わたしのしたオナニーです……し、雫ちゃんのことを思い浮かべながら、しました……雫ちゃん、勝手にえっちな妄想したり、机を汚したりして、ごめんなさい」
 一花ちゃんの言葉に、雫さんはただ、ひざに置いた両手をぎゅっと握りしめるだけでした。
 やはり、彼女の机が選ばれたのは偶然ではなかったようです。
 そのことを雫さんがどう感じたのかは、私にはわかりませんが。
「こ、これまでにも何回か……ゃ……っ、う、何回、か、同じようにオナニーしまし、た。
 お家でするときも、わたし、は、……ひっく……か、角をつかうことが……多い、です」
 言葉の途中で、一花ちゃんはとうとう泣きだしてしまいました。
 しかし、言葉は止まりません。
 『何人たりとも、発表の時間を妨げることはできない』のです。
 たとえそれが、発表者自身であっても。
「手で、ひっく、するのは、ま、前に痛かったので、ひっく……それいら、い、してません。
 直接、すると刺激が強いので、ひっく……いつも服の上から、します。
 まとめ。
 わたしは、昨日のように、服を着て、……ひっく、机の角、などで、オナニーをする、ことが多い、です。
 これで、はっぴょ、発表を、終り、ます」
 ようやく、一花ちゃんの『発表』が終わりました。
 しかし、彼女はまだこの責め苦から解放されません。
 『発表』の後には、さらなる地獄の時間が待ち構えているのです。

《とても素晴らしい発表でしたね。
 明日野さん、お疲れ様でした。
 とってもかわいかったですよ、一花ちゃん》

 唐突に、男とも女ともわからない声が教室中に響き渡りました。
 彼は――便宜上彼としますが、その性別を特定する根拠はありません――彼こそが、このルールを作り、クラス全員を支配する『誰か』。
 私たちは正体不明の彼の力に逆らえず、彼の存在を感じながらもその正体を一切『知ることができない』のです。
 彼はひょっとしたら今この時も教室にいて、ただ声を上げているだけなのかもしれませんが――私たちはその声の出所を探ることもできないし、声の特徴を覚えることもできません。

《それでは、質問の時間に移りたいと思います。
 今の発表について何か、質問や感想のある方は挙手をお願いします》

 そう――発表の後には、当然、質疑応答があります。
 しかし、今の『発表』について質問するということはすなわち、発表者に対してさらなる辱めを与えることに他なりません。
 普通に考えれば、そんな残酷なまねができるのはよほど加虐的な性質の人のみでしょう。
 ですが、この質問の時間は、私たちは自分の思考を隠すことを禁じられてしまうのです。
 もし、少しでも聞きたい事や感想を思い浮かべてしまえば、その人の手は自分の意思とは関係なく、勝手にあがってしまいます。
 結局、いつものように、クラスの全員がそろって手を上げることになりました。
 もちろん、私も例外ではありません。

《おやおや、大盛況ですね。
 みんな明日野さんのオナニーに興味津々のようです。
 それでは、えー……佐東くん》

「はい」
 声に指名されて、佐東という名の男子が立ち上がりました。
 真面目そうな黒髪の彼は、一花ちゃんに対して申し訳なさそうに表情をゆがめていますが、それでもどことなく嬉しげに見えるのは私の穿ち過ぎでしょうか。
「非常にエロかったです。
 しばらくオカズにさせてもらうと思います。
 角オナっていうのが、なんか、一花ちゃんらしいと思いました。
 それから、一花ちゃんのクリ○リスが敏感ということがわかってよかったです。
 一花ちゃんは多分、クリ○リスの皮を剥いたことってないと思うんですが――えと、剥いたことありますか?」

《明日野さん、答えてください》

「え、えっと……よくわかりません。
 たぶん、ない、と思います……」

《ありがとうございました。
 佐東さん、続けてください》

「はい、今度はぜひ剥き出しの状態でオナニーしてもらって、どれくらい感じるか見てみたいと思いました。
 以上です」
 言い終えて、佐東くんは着席します。
 あまりにも直接的な物言いの感想でしたが、しかたありません。
 声に意見を求められた際、私たちは自分の思ったことをありのままに言うよう支配されているので、普段の会話で行われるような言葉のフィルタリングはできないのです。
 ただ頭の中に浮かんだことを、浮かんだ言葉のまま言うしかありません。
 故にこの質疑応答は発表者にとってはもちろん、自分の性的嗜好をさらけ出してしまうという意味で、質問者にとっても恐怖の対象なのです。

《なるほど、『世界の名器図鑑』という裏モノ本を持っている佐東くんらしい感想でした。
 では、次に十五夜さん》

「はい」
 声の指定に、私の喉から自然と返事が響きました。
 とうとう、私の番が回ってきたようです。
 立とうともしていないのに身体が勝手に起立するのを気持ち悪く思いながら、私は一花ちゃんを真っ正面から見つめました。
 一花ちゃんは所在なさげに両手を後ろに回し、私を見つめ返しています。
 赤く泣きはらしたその目を見て、私の胸は締め付けられました。
 次の瞬間、火を噴くような言葉が私の口から飛び出していきました。
「まずは、毎度のことですが、この『発表』を定めた人間の悪趣味さに嫌気がさします。
 一花ちゃんみたいな純粋な子に、一体なんの恨みがあってこんなことをやらせるんですか。
 そもそも人の秘め事を暴こうとするような行いは、それ自体最も恥ずべき行為であると私は考えます!!」
 思いもかけない激しい言葉に、一花ちゃんや他のクラスメイトが驚きの表情を見せます。
 しかし、一番驚いたのは私自身でした。
 ルールは私たちに対し、従順であることを強要するものとばかり思っていましたが、反抗的な言葉であっても心底から思っていれば口に出すことはできるようです。
 どうせならこのまま、思いの続く限り文句を言ってやろうと私は勢い込みました。
「しかしながら、今回の発表について、私自身とても興奮したのも事実です!」
 ………。
 反抗的な思いは、数秒で尽きたようです。
「一花ちゃんの普段見ることのない淫らな姿はとても愛らしく、できることならビデオ等に記録して家に持ち帰りたいほどでした。
 さきほどクリ○リスの皮を剥いてから自慰をしてほしいという発言がありましたが、その際にはぜひ私が一花ちゃんをお手伝いしてあげたいと希望します。
 以上です!」
 ああ……。
 今すぐ……今すぐ、自分を殺したい……!
 私の矛盾する胸中そのままの、どうしようもない発言でした。
 一花ちゃんが再び顔を赤くして、泣きそうに瞳を潤ませています……。
 私はきっと、死後、地獄行き確定です。

《十五夜さん、ずいぶん情熱的なご意見、ありがとうございました。
 さて、最後の質問は……そうですね、昨日今日と明日野さんのオナネタにされていた柊さん、どうぞ》

「……はい…」
 声が最後に指名したのは、雫さんでした。
 立ち上がった彼女と一花ちゃんの目が合うと、一花ちゃんは一際悲痛な表情を浮かべます。
 親友をオカズにしていたことを暴かれた今の一花ちゃんには、雫さんと目を合わせることさえつらいのでしょう。
 雫さんは、絞り出すように声を震わせます。
「……一花ちゃんが、私の机を使って、私のことを考えながら、…………自慰をしていたと知って、びっくりしました」
 その言葉に、一花ちゃんの体がびくっと震えます。
「……でも、嬉しかったです。
 ……私も……一花ちゃんのことを思い浮かべて自慰行為をすることが、よく、あって……こんなことをしているのは、きっと私だけだと思っていたので……お互いに同じことをしていたのが、とても嬉しいです」
 親友の意外な告白に、一花ちゃんは驚いた様子で目を見開きました。
 これまでとはまた違う種類の赤みが彼女のほおに差します。
 小さな唇が、雫ちゃん、とつぶやく形に動いたのが、私にはわかりました。
 しかし、雫さんの感想はまだ続きます。
「……自慰をしている一花ちゃんは、とても一所懸命で……いじらしくて、かわいくて……もっと、いじめてあげたくなりました」

《たとえば?》

「………た、たとえば……一花ちゃんが、……おま○こを擦りつけている時に、……耳をかんだり……後ろから、胸を揉んだり、太ももを触ったり、それから……クリ○リスを、指ではさんだり…………おし……お尻の穴に、指を入れたりして、エッチな悲鳴を上げさせたいです………」
 大人しそうな見た目からは思いもよらない、大胆な発言でした。
 雫さんはもう耳まで真っ赤にしていますが、自分の思考を隠せない以上、今のが彼女の本心であることは間違いありません。
 一花ちゃんはというと、同じく顔を耳まで真っ赤に染めて、潤んだ瞳を震わせています。
 きっと、今の雫さんの感想を聞き、彼女が自分と同じ想いを抱いていたことへの驚きと嬉しさ、そしてその親友に自分の体の色々なところを弄られる想像が、一緒になって頭の中に渦巻いているのでしょう。
 そんな風に、呆然自失状態だった一花ちゃんにとって、その声は完全に不意討ちでした。

《柊さん、愛情にあふれた素敵な感想をありがとうございました。
 では、これまでに出た意見を踏まえてもう一度、明日野さんにオナニーをしてもらいたいと思います》

「――えっ!?」
 思いもかけない声の提案に、一花ちゃんの顔色が変わります。
「ちょ、ちょっとまってください! そんな、わたし、ちゃんと……」

《ええ、発表はとても素晴らしいものでした。
 しかしせっかく様々な提案が出たので、この機会に実践してもらおうかと》

「で、でもそんな」

《では、多数決を取りましょうか?
 もう一度、明日野さんのオナニーが見たい! という方は挙手を……おやおや、数えるまでもありませんね》

 声が言い終わるよりも早く、クラスのほぼ全員が手を上げました。
 自分の欲望を隠すことの許されないこの状況で、その多数決はあまりに酷というものです。

《それでは、明日野さん、がんばってくださいね》

「うぁ、ううっ……」
 一花ちゃんの大きな瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれました。

《まずは佐東くんの意見通り、陰核を剥き出しの状態にします。
 十五夜さん、前に出て、あなたのご希望通り、明日野さんの陰核の包皮を剥いてあげてください》

「はい」
 再び、私の喉から勝手に返事がもれ、体がひとりでに立ちあがって一花ちゃんのもとへと歩いて行きます。
 行く手には、怯える一花ちゃんの姿。
 私があんなことを言ったばかりに……いえ、私が言わなければ、代わりに提案者の佐東くんがこの役目を負わされただけでしょう。
 なら同じ女子である私がしてあげた方が、一花ちゃんの心的負担も軽いに違いありません。
 ……と、私は必死で自分に言い聞かせました。
 そう思い込まないと、罪悪感で胸が潰れてしまいそうです。
 教壇に辿り着くと、私はしゃがみ込みました。
 もちろんそれは、ルールに強制されての行動です――が、身体になんらかの負荷がかかるわけでもなく、ただ自然と、意思に反した動きを取るだけのこの状況。
 ふと気を抜けば、まるで自分が望んで行動しているかのような、危険な錯覚に陥ります。
 いえ――さっき私の言わされた感想が、それでも間違いなく私の本心であるように。
 この行動も、本当は私が、心の奥で望んでいることなのかもしれません。
 ふと視線を感じて見上げると、一花ちゃんが不安そうなまなざしで私を見下ろしていました。
 彼女の不安を和らげようと、私は笑いかけます。
「大丈夫だよ、痛くしないから。……ごめんね、私が変なこと言ったせいで」
「ううん、十五夜さんは悪くないよ……」
 ふるふると首を振る一花ちゃんの仕草に、胸が詰まります。
 私は、一花ちゃんのスカートに下から手を入れて、彼女の下着を膝上あたりまでずり下ろしました。
 そしてそのまま、手探りで……性器へと指を伸ばします。
「ひんっ!」
 私の指先があそこに触れた瞬間、一花ちゃんは小さく悲鳴をあげました。
 彼女のそこは熱く湿っていて、とても柔らかく、ほんの少し指が動くだけで愛液がぽたぽたとこぼれます。
 やがて、私の指はすぐに、彼女の一番の急所を探り当てました。
「ゃぅぅ…ん……」
 包皮の上から陰核に指をあてると、一花ちゃんが押し殺した声を漏らします。
 指の下で、びくんびくん、と陰核が脈打つのがわかりました。
 これほどまでに感じやすい彼女が、果たして剥き出しにされた陰核の快感に耐えられるだろうかと心配になりますが、しかし、そんな私の胸中などお構いなしに、私の指はじりじりと力を増し、包皮を上に押しあげていきます。
「ふぅっ……う……」
 一花ちゃんが苦しげな吐息をついて、身をよじりました。
 やがて、ぬるっとした手ごたえと共に全ての包皮を剥き終わると、

《すぐに包皮が戻らないようにしてあげてくださいね。
 途中で戻ったら、また最初からやり直してもらいますので》

 声の指示に操られて、私の指が急に動きを変えます。
 人差し指の先端が、一花ちゃんの、顔を出したばかりの敏感な突起を、下から上へ無造作についっと擦りあげました。
「にゃあああぅっ!!」
「あっ……ご、ごめんなさい! 大丈夫!?」
 いきなりの強烈な刺激に、一花ちゃんが悲鳴をあげます。
 かくんっと腰が折れ、一花ちゃんは思わず、スカートの上から両手で急所を押えました。
「――あっ、あ……!」
 しかし、今度は両手で押さえつけたことがさらなる刺激となって彼女を襲い、一花ちゃんはその姿勢のまましばし放心状態におちいりました。
 かくかく、と膝が小さく震えています
「…ぁ………〜〜〜っ、…ふぁ、う………」
「い、一花ちゃん……」

《軽く達してしまったようですね。
 まあ、これで陰核が勃起して、包皮がずり落ちにくくなったでしょう。
 では、オナニーを始めてください》

 冷酷な声の命令に、私は愕然としました。
 こんな状態の彼女にもう一度自慰行為をしろというのでしょうか。
 しかし、声を聞いた一花ちゃんはふらふらとした足取りで、教室の真ん中、雫さんの机へと歩き出しました。
 止めよう、せめて一花ちゃんが落ち着くまで時間を遅らせよう――と思った瞬間、私の体は金縛りにあったように、一切の動きを取れなくなってしまいます。
 おぼつかない足取りで、一花ちゃんは雫さんの机にたどりつきました。
 雫さんやクラスの皆が見ている前で、一花ちゃんは机に両手を付き、股間を角にあてがい、自慰を始めます。
「んんぅ……うう、うぁっ、……あっ、んっく、……っ」
 ついさっき、見たばかりの光景。しかし先程と異なるのは、今の一花ちゃんの意思は現在のままだということ。
 彼女は今、自分のしていることの意味も、それを大勢のクラスメイトに見られていることもはっきりと認識しながら、それでも動きを止めることができないのです。
「うっ、あ、うぁあっ……これ、あっ、だめっ……えぅ、刺激、つよ、すぎ…ぁうっ!」
 一花ちゃんは、あっという間に追い詰められていきました。
 やはり陰核が剥き出しの状態では刺激が強いのか――そう考えたところで、私は自分の犯したとんでもない失敗に気が付きます。
(しまった……下着を……)
 一花ちゃんの下着を、私はずり下したままで元に戻すのを忘れていたのです。
 あの状態では、履いていないのと変わりありません。
 今の彼女は剥き出した陰核に加えて、さらにもう一段階、いつもよりダイレクトな刺激を感じていることになります。
 戻してあげようにも、自慰が始まった今となってはそれも『発表』を妨げることになるのか、やはり体が動きません。
 しかし考えようによっては、感じやすくなった分早く絶頂を迎えられるのだから、時間は短く済むかもしれない――そんな私の言い訳じみた考えを見透かすように、教室に声が響きます。

《ああ、もうすぐ昼休みが終わりますね。
 キリがいいから、残りの昼休みいっぱいをオナニーの時間としましょう》

「えっ……ええっ!? そ、んな…ひゃふ! そんな、の、ひどい……くうっ!」
 昼休みの終了までは、まだ二十分近くあります。
 その間ずっとオナニーをし続けたら、一体何回イクことになるのか……私がそう思った次の瞬間、
「ひっ……い、ぁぁあああ〜〜〜っ!! っっぁはっ!! はっ、はあっ、はっ、はっ……!」
 最初のときよりもずっと激しく、一花ちゃんが達しました。
 これで2回目……いえ、すでに3回目の絶頂です。
 びくびくと全身を痙攣させながら、それでも一花ちゃんの腰の動きは止まりません。
 声が《昼休みの終わりまで》と定めた以上、彼女が自分の意思でオナニーを止めることはできないのです。
 ぐちゅ、ぐちゅ、という卑猥な水音が、離れたところにいる私にまで聞こえてきました。
「くぅぅんあ……ぜ、ぜった…ひあっ!
 絶対、むりで、す………おねが…ひんっ!!
 おねがい、許して、ゆるしてくださいっ……」

《まあまあ、遠慮なさらず。
 さて、では、柊さん?》

 一花ちゃんの必死の懇願をあっさりと切り捨てて、声が雫さんに呼びかけます。
「……はい」
 いつの間にか席を立っていた雫さんが、一花ちゃんの後ろにいました。

《それでは、思う存分、一花ちゃんをいじめてあげてください》

「……はい……」
 火照った顔で、雫さんがうなずきます。
「ひっ、んんっ……し、雫ちゃん……あぅ、ふぅっ……」
「……一花ちゃん」
 雫さんは、腰を振り続ける一花ちゃんを、後ろからぎゅっと抱きしめました。
「んうっ……ああぁあっ」
 ただ抱きしめられただけでも感じてしまうのか、一花ちゃんが切なげに泣き声を上げます。
「……一花ちゃん、体熱い……」
「あぅう……だってぇ……っ、さっきから、ふぁ、休ませて、もらえな――ひゃあうっ!?」
 いきなり耳たぶを口に含まれ、一花ちゃんの言葉が止まります。
「……ここ、かんひる?(感じる?)」
 耳たぶをくわえたままで、雫さんが一花ちゃんに聞きました。
「やぁ、だめ、ちから、ぬけちゃ、うっ……そこっ、だめぇっ……!」
「……きもひいいんあね(きもちいいんだね)」
 一花ちゃんの途切れ途切れの言葉を聞いて、雫さんは嬉しそうに笑うと、舌を伸ばして耳全体をゆっくりと舐め回します。
「やぁあ……ひぅ、ひぃん……っくぁ、ああう!!」
 四度目の絶頂。跳ねる小柄な体を押さえつけるように、雫さんは腕に力を込め、一花ちゃんの痙攣を全身で味わいます。
 やがて雫さんは耳から口を放すと、一花ちゃんの耳元でささやきました。
「……今、お耳でイッたでしょ?」
「……ふぅ、……ふぅ、……ん、っふ……」
 一花ちゃんには、答える余裕もありません。ただ荒い息をつくだけです。
「……感じやすいんだね、いっちゃんは」
「……っ!」
 からかうような雫さんの呼びかけに、一花ちゃんは真っ赤になってぷるぷると首を振ります。
「……何が違うの? ……おっぱいだって、こんなに――」
 一花ちゃんの小ぶりな胸の、服の上からでもわかるほどぷっくりと膨らんでいる先端を、
「やっ、そこ……くあああああっ!?」
 雫さんの細い指が、左右同時につまみあげました。
「――こんなに、いやらしく尖らせてる、くせに……」
「んあああ!! ひぃっく、っああ! はあ、あ、あっああっ!!」
 そのまま、先端に向けてしごくように指をしゅっ、しゅっと動かすと、その動きに合わせて一花ちゃんの口からは悲鳴が漏れ、指の一往復ごとに身体が大きく痙攣します。
「……ほら、一回しごくだけで、イッちゃうんだから。……やらしいなあ」
 楽しそうにつぶやいて、雫さんはさらに何回も一花ちゃんの乳首をしごきます。
 その度に一花ちゃんは涙とよだれをこぼしながら悲鳴をあげて、それでもなお腰を擦りつけつづけました。
 乳首責めは数分ほど続いたでしょうか。
 終わったころには、一花ちゃんは机に突っ伏してしまい、息も絶え絶えになっていました。
 そんな状態でも腰の動きは続いていますが、流石にだいぶ鈍くなっています。
 かくん、かくんと途切れ途切れに腰を振っている一花ちゃんを、雫さんは後ろからかかえて抱き起こしました。
 一花ちゃんの上半身を自分の体にもたれかけさせ、負担を少なくしてあげているようです。
 真っ赤な顔でぼんやりとしている一花ちゃんに、雫さんがささやくような声で問いかけました。
「………する時、私を使ってたんだ?」
「っ、……う、ん……ごめんね…ごめんね、しぃちゃん……ごめんなさ……」
「……あやまらなくていいよ、怒ってないから。
 ……どんな風に、私のこと思い浮かべてたの?」
「……修学旅行の、とき……ふぁ、……お風呂で見た、しぃちゃんの裸、思い出してたの……んんっ…………あそこの毛が、ちょっとだけ生えてて、すごくエッチだった……あと、…ぁ……私が、家庭科で……っ、指を…ケガしたとき、舐めてくれた、こと、とか……ひぅ…思い出し、て……」
 一花ちゃんの告白を聞きながら、雫さんは、右手を一花ちゃんの太ももに這わせました。
 太ももの内側で細い指がうごめくと、再び一花ちゃんの口から荒い吐息がこぼれ始めます。
「ふぅう、うう〜……っ、んう……!」
「……そんなに前から、私のこと、使ってたのね……月に、何回くらい?
 ……10回? 30回?
 ……ひょっとして、60回や70回?」
「そ、それはぁ…………ぅう、………はぅ……そんなの、言えな…きゃあん!」
 太ももを優しく撫でていた雫さんの右手が、一花ちゃんの柔らかそうな肌を、きゅっとつねりました。
 唐突な痛みに、一花ちゃんは悲鳴をあげて悶えます。
「やっ、ああっ……!」
「……答えて」
 一転、きびしい口調で命じる雫さん。
 声は冷静ですが、その顔は明らかに興奮し上気しています。
「あっ、あう……に、20回、くらいです……」
 痛みと快感に声を震わせながら、一花ちゃんは答えました。
「……その度に、私のことを?」
「…ぅん……」
「……うれしい……」
 一花ちゃんの耳元で、熱っぽくつぶやきながら、雫さんは右手を動かし始めます。
 愛液でぬるぬるになった一花ちゃんの内ももを、上に向かってなぞりあげるように――
「んあ、ああ、ああっ、あっあっあっ……!」
 太ももをぬるぬると這い上がる指先の感触に、一花ちゃんの悲鳴がひときわ高くなっていきます。
 あともう少しで性器に触れる、そんな距離まで指先は近づき――
「――あ、う……!?
 ひゃ、いや、やぁんっ……!」
「……どうしたの? いっちゃん。
 変な声出して」
――ぎりぎりのところで回れ右して、今度は下り始めました。
「んんっ……ふぁ……うくぅ……」
 指先は再び上がったり、
「ぃあ、んっあっ! っん! く、ぁぁ……」
 ぎりぎりのところでまた下ったりを繰り返し、
「くふぅぅぅっ……! ぁ、やあ、もうやめて……ちゃ、ちゃんと、ちゃんと触ってぇっ……!」
 耐え切れなくなった一花ちゃんが雫さんに懇願したところで、ぴたりと動きを止めました。
「……やめてほしいの? ……それとも、触ってほしいの?」
「う、う……ふゃぁぁん……」
 一花ちゃんは雫さんの問いに答えず、ただ喘ぎ声を漏らします。濡れそぼった一花ちゃんの性器と、机の角がスカート越しに擦れ合うくちゅ、くちゅ、という音だけが、静まり返った教室に響きました。
「……ちゃんと言ってくれないと、いじわるしちゃうよ?」
 静かな、けれど明らかに喜びをたたえた声で、雫さんはつぶやきます。
 彼女はそれまで一花ちゃんの腰に巻いていた自分の左手を、愛液にまみれた自分の机の角に置きました。
「あっ、だめっ、くひぁぁん!?
 ひぁ、手、どけてっ……はあっくぅぅ!!」
 彼女の手の甲と一花ちゃんの性器がぶつかって、ぐちゃり、と卑猥に擦れました。
 急に変化した刺激に泣き叫ぶような喘ぎ声を上げながら、一花ちゃんは秘部を雫さんの左手に擦りつけています。
「ひゃあう、だめ、とまんないの、やあん、また、イっ……くぅああああんっ!!」
「……すごく、熱いね。それに、びくびくしてる……いやらしい、おま○こ」
 一花ちゃんの性器に触れた雫さんに、耳元で感想を囁かれ、一花ちゃんの体がびくんとはねました。
 雫さんに抱きしめられたままの一花ちゃんの小さな身体が激しく悶えます。
「ぁぁっ……ふあっ、あっ、ああああぅ!」
「……また、イッちゃったね。でも……この程度のイキ方じゃ、もう物足りないんじゃない………?」
 一花ちゃんの愛液でぬるぬるになった雫さんの手がくるりと向きを変え、一花ちゃんの性器を小さな手のひらで包み込みました。
 一花ちゃんの秘所を隠すように、スカートの上から当てられた手。
 その細く白い指が、何かを探るようにうごめき――
「……いっちゃんが、一番触ってほしいとこ、触ってあげるね」
「ま、まって………待って、しいちゃ――っはああぁうっああっ!!」
 教室に、ひときわ甲高い悲鳴が響きます。
 雫さんの指が、一花ちゃんの最も敏感な部分をきゅっとつまんだのです。
 人差指と中指の付け根ではさみ込んだ一花ちゃんの陰核を、雫さんはなぶるように左右に引っ張りました。
「ひっ、きあっ!!! ひぃんっ!! んあっああっ!」
「……ここをお机に擦りつけてたんだね。
 こんなに硬くなって……エッチだなぁ、いっちゃんは」
 雫さんのなぶるような言葉に反応する余裕もなく、一花ちゃんは半狂乱になって悶えています。
「いぁぁあん!! はあっ、ああっあっ!!」
 追い詰められ、どんどん高くなっていく一花ちゃんの悲鳴。
 責めているだけのはずの雫さんも、真っ赤な顔で息を荒くしています。
 一花ちゃんが雫さんの机にそうしていたように、自分の秘部を一花ちゃんの腰に擦りつけながら、雫さんは泣き悶える一花ちゃんにつぶやきました――
「……そろそろ、お昼休み、終わりそうだね。だから……」
――マゾヒストならば見ただけで絶頂してしまいそうな、嗜虐心に満ちた笑顔で。
「………終わりの時間までずっと、イキっぱなしにしてあげる」
「――――っひ!? あっ、あぇ、そこ、ちがっ――ひああああっっ!!」
 遊ばせていた左手で、雫さんは一花ちゃんの小さなお尻を責め始めたのです。
 一花ちゃんの激しい反応から察するに、恐らく雫さんの細い指はすぼまりを抜け、直腸内へと侵入しているのでしょう。
 これまで一切触れられず、予想もしていなかったであろう部位への責め。これだけでも、昂り切った今の一花ちゃんには十分な決定打でした。
「あううううううううーーっ!! あお、はううぁああっ!!」
 もはや何度目になるかもわからない、絶頂。
 一花ちゃんは、掴んだ机がガタガタ揺れるほど体を痙攣させて、顔からは涙とよだれを、体中から甘ったるい匂いのする汗を、そしてあそこからは失禁したかのように大量の愛液をあたりにまき散らしました。
 しかしサディズムに目覚めた雫さんは、さらなる責め苦を彼女に与えます。
 指にはさんだ一花ちゃんの可愛いク○トリスを、斜め上へ向けてくいっと引っ張ったのです。
「〜〜〜〜〜〜〜〜…………っ!!」
 声にならない悲鳴を上げて、びくん! と体をのけぞらせる一花ちゃん。
 つま先立ちになり、腰を前に向かって突き出すような淫猥な格好です。
 が、雫さんは容赦なく陰核をつまみ上げ、一花ちゃんが絶頂から降りられないよう宙吊りにしています。
「あぇああぁっああぁああっあああああーーっ!!
 あひっあゃああっ! あーーーーーっ!!」
 身体の最も敏感な部分で全体重を支えさせられて、一花ちゃんはもう声を抑えることができなくなっていました。
 性器からは断続的にぶしっ、ぶしっと潮を吹き、口からは嬌声と共に唾液がとめどなく溢れます。
 ク○トリス吊りは一分以上続き、その間、一花ちゃんの悲鳴が止むことはありませんでした。

 昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り、一花ちゃんはようやく絶頂地獄から解放されました。
 焦点の合わないうつろな目で、床にへたりこむ一花ちゃん。
 なかば気絶しかけの彼女の体を、後ろから優しく抱きかかえているのは、もちろん雫さんです。

《お疲れさまでした、明日野さん。
 柊さんとの共同作業も含めて、大変素晴らしい発表でしたよ。
 2人の友情もさらに深まったようですし、次回の発表はぜひ二人一緒にしていただきたいですね》

 声が聞こえているのかいないのか、愛おしげに一花ちゃんの頭をなでている雫さん。
 彼女の机には、ついさっきまで一花ちゃんがさらしていた痴態の痕跡がありありと残っています。
 机の周りには一花ちゃんのありとあらゆる体液がこぼされ、特に彼女が立っていた場所など、小さな水たまりができていました。
 もちろん机の上も惨状と呼ぶにふさわしい有様です。
 一面が潮と愛液でべとべとのぬるぬる、汚れていない部分を探すのが難しいほどで、食べかけの可愛いお弁当も容赦なく愛液まみれになっています。
 こんなことは珍しいことではありません。
 毎日、お昼休みになると決まって私たちの誰かが発表者に選ばれ、今日の一花ちゃんのようにさんざん弄ばれるのです。

《柊さん、次回の発表までに、一花ちゃんをたっぷり可愛がってあげてくださいね。
 それでは、今日の発表はここまでにします。
 では明日野さん、今日は本当にお疲れさまでした。
 みなさん、発表者の明日野さんに盛大な拍手を》

 教室中から、割れんばかりの拍手が巻き起こりました。
 一花ちゃんは雫さんの胸に抱きかかえられ、半分眠ったようなとろんとした表情のまま、消え入るような声でつぶやきます。
「はっぴょうを、おわり……ます。
 ありがと…う、ございまし…た……」
 途切れ途切れに謝辞を述べて、彼女はそのまま、深い眠りに落ちていきました。

《終わり》


(※お弁当は、雫さんが後でおいしくいただきました。)


文章:愛其等さん


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