Justice 〜正義〜
第一話:野伊町



――野伊町 午後三時十五分
「あ〜ぁ、テストおわったぁ」
 男子高校生が一人歩いている。
 この日、彼の通っている高校は中間テストの最終日だったらしく、見も心も疲れ果てた(?)彼は、まっすぐに家へ帰っていた。
 部活に入っていないのが幸いし、今日はすぐに帰ることが出来た。
 空は青くて、風が涼しくて、日差しが日に日に強くなってくる六月の初め。いつもと同じ時間が流れていた。
 いつものとおり交差点に差し掛かる。彼はここの道は渡らず、いつものとおり信号待ちをしている人の山を抜けて、右に曲がった。
「(あぁ、暑っ苦しい・・・)」
 人だかりを抜けるとき、彼はそう思った。うつむいて一息つき、ハンカチで汗をぬぐった。
 そのハンカチをポケットに戻しながらほっと息をつき顔を上げたとき、そこには見慣れた故郷の街の景色が

・・・・・・なかった・・・・・・

「え・・・・・・・・・?」
 彼は目を疑った。破壊された建物を、へし折られた信号機を、それらの上をこちらに逃げてくる人を見た自分の目を疑った。
「逃げたって無駄だよ」
 こちらん向かってくる人の並みの後ろから、ナイフのようなものを持った男が飛び上がり、次の瞬間男と高校生の間に血の雨が降った。
 目の前で倒れこむサラリーマンのような男。その若い男の上にナイフの人物が着地する。ナイフの男は不気味にニヤニヤ笑いながら見下ろしてきた。ナイフには今しがた刺したばかりの男の血がついている。
 この情景を見た高校生は恐れた。身体は震え、無意識のうちに座り込んでしまう。この殺害の現場を見た高校生は腰を抜かし、動けなくなってしまった。
「へぇ、見るのは初めてか。じゃァちょうどいい冥土のみやげになったじゃねぇか」
 この状況でさえ初めてで、何の理解もできない高校生は戸惑った。しかし、その恐れの先に、ここから起こることの中で最悪のものが見えた。
 高校生は一番恐れることが起こる予感がした。彼はそれが単なる思い込みであって欲しいと願った。心から願った。 しかし、その予感は、的中した。
「ほんじゃ、サイナラ」
 男は彼に向かって嘲笑ともいえる笑みを向けた後、赤い刃のナイフを逆手に持ち直し、彼の首元を狙って一気に振り下ろした。ここまでかと彼は諦めた。
 走馬灯のように今日一日のいやな事が流れてくる。最後に見る幻想が自分が嫌いなテストとは、とことんついてないなとすら思えてくる。
 どうせなら、あと一週間待って欲しかった。まだ友人に借りたCDを返してないし、読みかけの漫画もあった。それに、明日は新しいゲームの発売日だ。結局楽しいことはテスト期間前のゲーセンで大敗した苦い記憶が最後となってしまった。
 彼は突如訪れた非日常と早すぎる死を目の当たりにし、自分がありとあらゆるものから零れ落ちてしまったように感じた。
 目を瞑り、すべてを覚悟したそのときだった。後ろから高いきれいな声が響く。
「アビリティー:アクティブ!伸びて、剣の切っ先!」
 その声にはっと目を見開けると、目の前を銀色の閃光が走っており、ナイフの男は後ろに吹っ飛んでいた。その光が先ほどの声がいってた『剣』だとわかるのにしばらくかかった。
 まるで神様が天から降りてきたのかという喜びに高校生は気が狂いそうだった。いや、自分では狂った、(頭が)逝ったと思った。なぜなら、その声が先ほどの台詞を言った後、すごく色っぽい声で「あぁん」と言ったからだ。
「僕はこの状況で何を考えてるんだ・・・」
 彼は淫らな声を振り払うように首を横に振った。そしてナイフの男のほうを見た。男は幸いにも、剣の腹で叩かれただけらしく、吹っ飛んだだけですんだ。
「くっそぉ、覚えてろよ!!」
 男は走り去っていった。しばらくの沈黙の後、後ろから声が聞こえた。先ほどの声だ。
「あの・・・大丈夫ですか?」
 そちらのほうに彼が振り返ると、そこにはかわいらしい女の子が立っていた。彼女はさらっとした美しい黒髪を後ろに束ねており、どこの学校のものなのか、制服を着ていた。左上膊(肘から肩にかけてのところ)に腕章をつけていた。顔もよく、こちらに向けてやさしく微笑みかけていた。
「え・・・あぁ・・・うん・・・・・・」
 彼は彼女と目があったとき、とっさに目を逸らしていた。しかし、その視線が向けられた先に見たもので、彼の赤面はなくなり、逆に少し青くなった。
「それ・・・君の・・・?」
 彼は剣を指して言った。彼女の右手には、長さこそ先ほどよりもかなり短い(大きさにして大体”片手剣”と言われて最初に想像がつくくらいの)ものであったが、彼の視界に飛び込み、命をすくったあの刃と同じ輝きをした剱が握られている。
「あ・・・はい」
 彼女は頷いた。そして急に剣が消えた。彼はまたもや自分の目を疑った。彼は手品の一種か何かなのかと彼女に尋ねようとした。が、それを制して後ろから声が聞こえた。
「あんたが”西崎ケイスケ”だな・・・?」
 ケイスケと呼ばれた彼はその声のほうを見た。そこにはニコニコと笑いながら、青年が立っていた。
「そうですけど・・・?」
「そうか、よかった。捜したぞ。」
 ケイスケは肯定し、それに対して青年はほっとしたようだった。青年は言葉を続けた。
「今日、いま、この場においてから、あんたには<コマンダー>になってもらう。」
 あたりにはケイスケの「えーっ!?」と言う声がこだました。



あとがき
・さぁて、オリジナル第一弾ですよ。はい。やっぱり勝手が効く分、書きやすいですね。
・第一話からまったくエロクナイ!でも少しずつ頑張ります故よろしくです。やっぱり前置きもきちっとしないと・・・ね・・・?
・さて、オリジナルでは初のエロ小説となりますが、僕としてもどうなるのかわかりませんので、皆さん、最後までよろしくです!(たぶん最後までエロクナイと思うけど・・・/ヲイ)
・ちなみに『野伊町』は『のいまち』と読みます。んでもって『剣の切っ先』は『つるぎのきっさき』です。喫茶店とちゃいますよ?(そんな間違い誰もしないって。)
・ちなみにテストどうだこうだっていうのは、作者の状況そのままです。ただ、最初の日と最後の日というのは誤差がありますけどね(何)。
・にしても、僕が(オリジナルで)書くと何でこういう作風になるんでしょうね?誰かぁ〜、教えてくださいな!



文章:いふかさん


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