「自慰抑制週間」
1 土曜日の朝
奈々は学校に着くと、玄関に立てられているボードの前に立ち止まった。
奈々は横に用意されているシールを手に取る。
彼女の顔は、心なしか赤いように見える。
手に取ったシールをなかなかボードに貼ることができない。
「21回!? 奈々ちゃん、だんとつだよ〜」
いつのまにか集まっていた男子生徒の一人が、奈々の背中に書かれている回数を読んだ。
その言葉に、奈々の顔は真っ赤になってしまった。
それにつられ、他の男子も大声でその話題を話し始めた。
たまらなくなった奈々は、ここから早く逃げ出そうとシールを貼り始めた。
すると、男子もそちらに注目する。
「1回、2回、3回…」
男子たちは、奈々がシールを貼っていくのに合わせ、回数を数え始めた。
奈々は顔を歪ませる。
「…7回!」
男子は奈々がシールを貼り終えると、手を叩いたり、大声で笑ったりした。
「1週間で一番多いジャン!!」
「トータル28回!?
だんとつのトップじゃん!」
それらの冷やかしから逃げるように、奈々は体育館に急いだ。
しかし、三角棒を進む奈々は男子たちに追いぬかれていく。
そのときに、男子は皆、奈々に自慰回数の多さを指摘してから通りすぎていった。
2 目標
「1年、山崎美香です!…、オ、ナニー…は、月曜、2回、火曜、2回、水曜、1回、木曜、3回、金曜、7回でした!
…トータルで、15回…オナニーで逝ってしまいました…」
全員の自慰回数報告が終了した。
15名の少女は皆、舞台の上で顔を赤くしてうつむいている。
奈々もその一人だ。
特に、その回数は圧倒的に多かった。
そもそもこの学園で生活をしている以上、少女たちは毎晩の自慰から逃れることはできない。
そして、特殊な催淫剤の影響で、絶頂を迎えて落ち着くのに何度も逝かなくてはならない。
そのため、聖女学園の女子生徒全員が「オナニー猿」となってしまうことは仕方のないことなのだ。
しかし奈々は、小6のときに自慰というものを覚えて以来、ほとんど毎日欠かすことはなかった。
本来、オナニーをあまりしない子が、薬などのせいで無理やりさせられてしまうのとは違って、もともと自慰の欲求を押さえ切れない奈々は、この学園に入学するとその回数がさらに増えてしまった。
その回数は他の女子生徒に比べて圧倒的に多く、今では全校生徒が「オナニー=奈々」という連想をするほどにまでなっている。
そのため、奈々にとって初めての体験となるこの「自慰抑制週間」は最も陰鬱な行事といってもよかった。
この自慰回数調査の1週間は、必死に耐えようと思っていた。
しかし、毎日繰り返される「オナニーを控えましょう」という標語や掛け声、プレッシャーのせいで余計意識してしまい、結果として、いつもよりも多くなってしまったのだ。
「…。…さん。桜井さん!」
司会者の声にふと我に返る奈々。
とうとう、奈々に目標発表の順番が回ってきていたのだ。
「は、はいぃ!えっと、…その、…じ、じいの回数を…、1日1回以内に…、したいと思います…」
何とか目標を言い終えた奈々だったが、担任のめぐみ先生がマイクをとった。
「奈々さん!」
「は、はい…」
「あなたは今週、何回オナニーしたと思ってるの?」
「えっと…」
「28回よ!28回。
2番目に多い子でも23回よ」
「そ、…」
「あなたはオナニーするの本当に大好きね…。
はしたないと思わないの?」
「ご、ごめんなさい…」
めぐみ先生の質問の論点が微妙にずれていくが、奈々はそれに対し顔を真っ赤にしながら、あいまいな返事しかできなかった。
結局、めぐみ先生に巧みに誘導され、決めた目標は次のようなものだった。
「み、みなさん…、奈々は…オ、オ○ンコいじりのやめられない…、すけべな子です…。
一生懸命がんばりますが…、1日3回…マ、マンズリしてしまうのは…許してください…」
3 わずかな休息
帰寮後、奈々は自分の部屋で泣いていた。
普通の生活をしていた小○校6年の頃から、自慰行為を止めることができなかった。
いくら、いやらしい仕掛けがある聖女学園に入学したからといって、その回数は明らかに他の子より多い。
学校で耐えきれずしてしまったことだってある。
そんないやらしい自分のことを恥ずかしいと思っていた。
「失礼しま〜す」
誰だろうと思い振り向くと、そこにはすずがいた。
「せ、先輩…」
すずの顔を見た奈々は、安心感からか、止まりかけていた涙がまたこぼれてきた。
「もう…、泣かないの!分かった?」
奈々の頭を撫でながらすずは言った。
「だって、だって…」
「オ、オナニー…私、だ、大好きだよ。
気持ちいいし…。
みんなしてるし…。
するのは当然なんだよ」
すずはとんでもないことを言い出した。
その顔はほんのり赤く染まっている。
「わ、私…オ、オナニーするとき、乳首をきゅーってしながら逝くの好きなの…」
―――自分のために、わざと恥ずかしい思いをしてくれている―――
そう気づいた奈々は、顔を上げ、笑った。
「ありがとうございます、先輩」
すずもそれを見て、笑った。
その後、他愛も無い話をしていたふたりだったが、すずが突然まじめな顔になった。
「恥ずかしいかもしれないけど…、明日の日曜日は目一杯、その…、オ、オナニー…をしたほうがいいよ…」
頬を赤くし、視線を逸らしながらすずは言った。
「ふぇ?」
その言葉に奈々も顔を赤くした。
奈々が理由を聞こうとすると、
「あ、いたいた、牧野さん!
用務員の人が呼んでるわよ」
3年生の女の子が部屋に入ってきたのだ。
「は、はい!」
そう言ってすずは出ていった。
4 恥ずかしい準備
翌日の日曜日、日が傾きかけた頃、自分の部屋に戻ろうとしていた奈々は、すずの部屋の前を通りかかった。
何気なく覗いてみると、すずは壁に向かって立っていた。
何をしているのだろうと不思議に思い、よく見てみると、何と、すずは立ちながらTシャツとズボンの中に手を忍ばせていたのである。
その様子と上気した顔を見て、何をしているのか、奈々にもわかってしまった。
その光景に呆然としてしまい、その様子から目が離せないでいたが、それに気づいたすずと目が合ってしまった。
恥ずかしくて、すずは目を逸らしてしまったが、暫くすると奈々の目を見て、ゆっくりとうなずいた。
何のことかよく理解できなかった奈々は、見つめられた気まずさから、目を逸らした。
すると、すずのルームメイトも椅子に座り、こちらを向きながら自慰に励んでいた。
―――目一杯オナニーをしておいたほうがいい―――
奈々は、きのう、すずに言われた言葉を思い出した。
他の部屋を覗いてみても、2、3年生はみなミラーとは反対側の壁に寄り、ミラーに背を向ける格好で自慰をしている。
そして、みんな羞恥に顔を赤くしている。
にもかかわらず、なぜ自慰をするのか…。
奈々にはわからなかったが、すずの自慰の様子にたまらなくなり、急いで自分の部屋に戻った。
布団の中に入ろうかと思ったが、布団はクリーニング中でベッドの上にはなかった。
そこで、2、3年生と同じように、ミラーと反対側の壁側で、ミラーに背を向けて体育座りをした。
そして、はいていたズボンとTシャツの中に手を入れた。
その行動に驚いたルームメイトは、あわてて部屋から出ていってしまった。
5 カプセルベッド
自慰抑制週間の1日目を終え、カプセルベッドに入った奈々は、いつもと同じように、自慰の衝動に心を揺さぶられていた。
いや、いつもと同じではなかった。
朝と夕方、2回使った寮のウォシュレットに、恥ずかしい部分をいたずらされた。
先ほどのお風呂では、男子に催淫剤入りのソープを体中に、特に乳首や性器、肛門の中まで丹念に擦りこまれた。
学校でも、いつも以上に激しくいじめられた気がする。
なのに、一度たりとて逝くことができていない。
普段なら、学校で1日に何回か果ててしまうことがあるのだが、今日に限っては、1度も逝かされなかった。
そういったことが重なり、身体は、いつも以上に興奮している。
乳首は痛いほど硬くなり、少しパジャマの生地とすれるだけで、体に電気が走ったようになる。
そして、淫らな汁のせいでショーツは既にぐちょぐちょになっている。
当然、奈々の頭の中には、オナニーのことしかない。
しかし、このカプセルベッドではできるはずがない。
上も、右も左もミラー張りで、おまけにそこまでの距離は50cmほどしかないのである。
そして、掛布団もそこにはない。
ここで自慰をしてしまえば、このマジックミラーの向こう側にいるはずの男子に、至近距離から観察されることになる。
奈々は必死に耐え続けた。
しかし、どんなに待っても身体の興奮は収まらず、逆にどんどん大きくなっていった。
そして、手が勝手にショーツの中に入っていってしまった。
「やだ…、恥ずかしいのに…」
奈々の手は、恥ずかしい部分を弄りまわす。
しかし、羞恥心が邪魔をして、ゆっくりとした動きしかしない。
それが、かえって奈々を辛い状況にした。
「はぅ…、こんなの…」
しばらく可愛らしい性器いじりが続くと、体はどんどん興奮状態になってくる。
奈々は上の服の中に手を入れ、乳首を人差し指で弾いてみた。
「きゃ!…き、きもちい…」
乳首が股間をまさぐるスイッチのようで、乳首を苛めるたびに下半身に伸びた手の動きも速くなっていく。
「は…、はん…、や…」
奈々は、可愛らしい喘ぎ声を出し始めた。
欲求が羞恥心を上回り、いよいよ本格的に自慰が始まると思ったそのとき、突然周りが明るくなった。
そして目の前のミラーに自分の姿が写らなくなり、代わりに鏡の向こう側が丸見えとなった。
鏡の向こうには大勢の男子がこっちを見て、笑っている。
いくら向こうで男子が見ていることがわかっていたといっても、実際にその男子たちと目が合うと、その恥ずかしさは並ではない。
「い、いやぁ!!!」
奈々の手は、服の中に入ったまま、ピクリとも動かなくなった。
6 「賢い」選択
すずはカプセルベッドの中で、激しい自慰をしていた。
すずの目標は「1日1回」。
「んふ…、恥ずかしがって…あん!…たら…、目標…はあはあはあ…、ん!…クリアできないから…」
この学園で使われる催淫剤は、軽く逝くことは出来ても、満足するような大きなアクメはなかなか味わえないようになっている。
そのため、中途半端に1回逝ってしまうと、かえって辛くなってしまうのだ。
確かに理屈ではそうなのだが、これは自分自身に対する言い訳にのようにも聞こえてしまう。
「はあ、はあ、…ん!…くぅ…、だ、だめ…ま、まだよ…」
すずは、軽く果てそうになると手の動きを緩め、自分自身をどんどん高みに持っていく。
その緩急自在で長く続くオナニーは、中学生とは思えないほど、淫らでいやらしかった。
すず自身、こんな自慰をしていることに大きな羞恥と罪悪感を感じている。
しかし、1回で満足することができなければ、その後に訪れる羞恥の方がはるかに大きい。
初めての「自慰抑制週間」のとき、羞恥心から、自慰を一生懸命がまんした。
全くしなかった日もあった。
律儀に回数を守って、中途半端なところでやめたりもした。
その結果、最後には身体が耐え切れなくなり、体育の授業中に自慰をしてしまい、そこで満足できるまで何度でも果ててしまった。
その後は悲惨で、学校でも寮でも、いろいろなところで自慰をしてしまった。
そして、目標も達成できず、恥ずかしいペナルティーまで受けてしまったのである。
学校で、みんなに見られながらの自慰は、死ぬほど恥ずかしかった。
だから、そんなことは二度としたくはなかった。
だから…。
「はん…、はあ、…く!…あん!…」
このカプセルの中でだけは、すずは羞恥心を捨てることにしたのである。
だが、そんなすずの心をあざ笑うかのように、何十分も続いた淫乱な自慰もラストスパートというところになって、突然すずのミラーも、向こう側が見えるようになってしまったのである。
男子の部屋の光が入り、カプセルの中は明るくなった。
大勢の男子がこっちを見ている。
「い、いや!」
顔は真っ赤になってしまった。
必至に抑え込んでいた羞恥心が、全身に広がっていく。
一瞬、手が止まりそうになった。
しかし、すずは片手で顔を覆うと、再び激しい自慰を始めた。
―――ここで逝かなきゃ…―――
手の動きは今まで以上で、誰の目にも、すずの限界が近づいていることがわかる。
手で覆われたすずの顔の表情は見えない。
しかし、頬を透明な何かが伝っていった。
文章:帰ってきた暴走アフラマズダ十三世7(元は) さん